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 「企業が新しいビジネスの創造に挑戦しようとするとき、それを支えるITを含めた技術の活用が不可欠だ。では、その挑戦を支える技術を、皆さんは既に見つけているだろうか」。2016年7月8日、都内で開催された「IT Japan 2016」(日経BP社主催)に、レッドハットの望月弘一代表取締役社長(写真)が登壇。講演で、聴衆にこう問いかけた。

写真●レッドハット代表取締役社長の望月弘一氏
写真●レッドハット代表取締役社長の望月弘一氏
(写真:井上裕康)
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 望月氏が講演で取り上げたテーマは、新しい技術や製品などをもたらすオープンソースやオープンイノベーション。オープンソースソフトウエアを、企業が導入・運用しやすいように製品化し、保守サービスなどとともに提供している同社ならではの話題である。

 ITといっても、基幹系システムから、機能の追加や変更が容易なものまで多岐にわたる。「そういったITのなかから、自社の挑戦にとって一番大事なものは何かを見極めることが大事。さらに重要なのが選択する人。ITベンダーの担当者に任せるのではなく、ユーザー企業側で決めたい」と持論を展開した。

 望月氏は、持論の裏付けとして、ある海外での出来事を紹介した。子供の頃に事故で腕を失った南アフリカに住む大工が、「子供たちが素敵と思うような新しいタイプの義手を作りたい」と思い立ち、アイデアをネットで公表。すると米国のロボット技師が賛同して共同開発が始まった。

 ここで選択した技術が3Dプリンター。これで義手を作成した。さらに3Dプリンターで作れる義手の設計書や作成手順をネットで公開。すると、改善に協力してくれる人を募る運動が起こった。Googleマップを使って募集したところ、1年半で世界から5000人が参画。「企業単独では数年かかって出す研究成果が、毎月のように出始めるようになった」と望月氏は話す。現在では、この開発コミュニティを支えるNPO法人、e-NABLEが設立されている。

 このケースでカギになった技術は、個人で使えるテクノロジーの3Dプリンターだ。その選択が世界的な開発へとつながったわけだ。さらに望月氏は「設計書や作成手順をオープンソースとして公開したことも大きな成功要因。人と人とがネットでつながり、技術や知識が共有されることで、不可能と思えることが可能になった」と指摘する。

 個人で使えるテクノロジーは、ドローンをはじめ、続々と登場している。「個人でできることが飛躍的に広がってきている。新しいテクノロジーを使えるうえに知識を持った個人同士がつながり、コラボレーションを進める。そうすることで、企業が従来のやり方でトライしても解決できなかった問題が、解決できるかもしれない」と、望月氏は見通しを語った。