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 「医療業界においてクラウドを活用するうえで、法規制などにどう適合させるかに頭を悩ませた」

 医療用検査機器大手シスメックスで情報ソリューション部 情報企画・開発グループ シニアプランナーを務める矢野光洋氏は、同社のパブリッククラウド活用を振り返ってこう語る。アマゾン ウェブ サービス ジャパンが2016年11月22日に開催した地方企業向けのクラウド活性化イベント「AWS Cloud Roadshow 2016 大阪」で、矢野氏は「シスメックスにおけるクラウド活用戦略」をテーマに登壇した。

シスメックスで情報ソリューション部情報企画・開発グループシニアプランナーを務める矢野光洋氏
シスメックスで情報ソリューション部情報企画・開発グループシニアプランナーを務める矢野光洋氏
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 シスメックスがクラウド活用の対象としたのは、医療用検査機器の品質に対する苦情情報を管理するシステムだ。矢野氏は「サーバー3台が中心のシンプルなシステムである、システム稼働率の要求水準がそれほど高くない、データを15年間保持する義務がある」という条件を基に、同システムのインフラにAmazon Web Services(AWS)を使えないかと考えた。

AWS上に移行した品質苦情情報管理システムの概要
AWS上に移行した品質苦情情報管理システムの概要
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 AWSを利用するうえでは「薬機法(従来の薬事法)」や「医薬品・医薬部外品製造販売業者等におけるコンピュータ化システム適正管理ガイドライン」への適合が課題となった。例えばコンピュータ化システム適正管理ガイドラインでは、担当者に保守点検を実施させ、その結果を記録し、保管することという規定がある。AWSではインフラの保守点検はアマゾンの管轄になる。「厚生労働省などに対して説明責任を果たすにはどうすればよいか悩んだ」と矢野氏は打ち明ける。

 課題解決のために役立ったのが、AWSがまとめた「医薬品医療機器等法対象企業様向けAWS利用リファレンス」だ。「リファレンスの内容に基づけば、厚労省などへの説明責任が果たせるという期待が持てた」と矢野氏は語る。具体的な詰めの作業は、日立製作所や、医療機器などのシステム開発に強いフィラーシステムズなどが担った。

 システム設計や構築の作業では、NTTドコモやクラスメソッドの協力も得ている。矢野氏は「クラウドの導入にはパートナーの協力が極めて重要だった」と力を込める。セキュリティやプライバシー保護の観点から「まだクラウドファーストという段階ではないが、『ヘルスケアの進化をデザインする』という当社のミッションを実現するためにも、他のユーザー企業やパートナーなどと意見交換しながらクラウド活用の可能性を探っていきたい」(同)とした。

 AWS導入を支援したパートナー
AWS導入を支援したパートナー
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