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 「2年目のプロジェクトで予算が増えることは、霞が関の常識ではありえない」。文部科学省 研究振興局の栗原潔 情報担当専門官は、現在検討が進む2017年度の文部科学省予算案についてこう語る。人工知能(AI)関連プロジェクトの予算案が前年度の54億円から17億円増の71億円になる見通しという。政府は2016年4月に理化学研究所へ同プロジェクトの拠点である革新知能統合研究センターを新たに設立するなど、AI研究に大きく舵を切った。その背景には、米国などに比べて遅れる日本の情報技術研究の現状があるという。

文部科学省 研究振興局の栗原潔 情報担当専門官
文部科学省 研究振興局の栗原潔 情報担当専門官
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 栗原氏の発言は、エヌビディアが2017年1月17日に主催した「NVIDIA Deep Learning Institute 2017」の講演でのもの。同氏は講演で、国のAI研究の現状や政府の取り組みを紹介した。現在政府は「人工知能技術戦略会議」を通じて、文科省と総務省、経済産業省の3省を連携し、「人工知能/ビッグデータ/IoT/サイバーセキュリティ統合プロジェクト(AIP:Advanced Integrated Intelligence Platform Project)」を進めている。2016~2020年度までの5カ年で、AI関連の研究開発や社会実装を目指す。

 AIPが始まった初年度に文科省で54億円の予算案が付いたことを、栗原氏は「新規でこれだけの予算が付くことはあまりない」と分析する。さらに、2017年度には予算案が17億円増額する見通しであり、国を挙げてAIの研究開発が進んでいるとした。

 政府がAIに注力する背景には、日本がAIやビッグデータを含む情報科学分野において世界で遅れを取っている現状がある。第2次AIブームが下火になった1990年代からの20数年間、日本では計算機科学や数学分野の論文数が他国に比べて伸び悩み、特に情報技術分野で世界に後れを取っている。科学技術関係の予算を見ても、情報通信分野が相対的に減少傾向にある。

科学技術関係予算の8分野別の推移
科学技術関係予算の8分野別の推移
(出所:栗原氏の発表スライド)
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 政府はAIなどによって産業競争力を高め、2020年までに30兆円規模の新市場を創出する目標を掲げる。生産性の向上や高付加価値のサービス提供によって、就労人口の不足や低賃金の解消を目指すという。