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 「金融機関のFinTech関連のIT投資は2017年の110億円から、2020年には338億円に拡大する」。調査会社のIDC Japanは2017年2月1日、「国内金融IT市場予測」を発表。調査を担当した市村仁 ITスペンディンググループ リサーチマネージャーは、「この分野の2015~2020年のCAGR(年平均成長率)は68.7%となり、他分野のIT投資と比較すると突出して高い」と説明した(写真1)。

写真1●IDC Japanの市村仁 ITスペンディンググループ リサーチマネージャー
写真1●IDC Japanの市村仁 ITスペンディンググループ リサーチマネージャー

 2017年の金融機関のFinTech関連のIT投資の内訳を業態別に見ると、銀行が60億円、保険が40億円、証券/その他金融機関が10億円となる。これが2020年になると銀行が170億円、保険が120億円、証券・その他金融機関が50億円と予測している(写真2)。

写真2●国内金融機関の「FinTech」関連IT支出額の予測データ(業態別)
写真2●国内金融機関の「FinTech」関連IT支出額の予測データ(業態別)
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 投資分野別では「ブロックチェーン」の2015年~2020年のCAGRが110.0%、「ソーシャルレンディング/トランザクションレンディング/クラウドファンディング」など新たな融資の手法の2015年~2020年のCAGRが134.3%になると予測。この二つの分野に加えて、IoT(Internet of Things)の考え方を活用した「テレマティクス保険」の三分野が成長をけん引すると予測している。

 IDC Japanは、個人資産管理、金融情報/投資支援、テレマティクス保険など、会計/経営情報、ソーシャルレンディング/トランザクションレンディング/クラウドファンディング、決済、暗号通貨、ブロックチェーンの8分野の金融サービスを「FinTech」と定義(写真3)。FinTech関連サービスを提供する2010年代前半に創業したスタートアップ企業を「FinTechスタートアップ」と定義している。

写真3●IDC Japanの「FinTech」の定義
写真3●IDC Japanの「FinTech」の定義
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 市村リサーチマネージャーは今後、FinTechを展開するうえでの課題の一つとして、「保守的な金融機関がスタートアップ企業のセキュリティ面を懸念して、検討が進まないケースがある」と指摘。「これまで金融機関と付き合いのあったITベンダーが、スタートアップ企業と組んでサービスを提供するといった支援が重要になる」との見方を示した。

 IDC Japanは、 FinTechを含めた国内金融IT市場(銀行、保険、証券/その他金融の国内IT支出)全体の予測も発表。2017年の市場規模は2兆517億円で、2015年~2020年のCAGRは1.1%とプラス成長を予測している。「みずほ銀行など大手金融機関の大型案件が継続している。また大手保険会社の基幹系リプレースが予定されているなど、成長要因がある」(市村リサーチマネージャー)とみている。