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 米Ford Motorは2017年2月10日(米国時間)、自動運転スタートアップの米Argo AIに対して今後5年間で10億ドルを投資すると発表した。Argo AIは米Googleや米Uber Technologiesで自動運転車を開発してきた技術者が、2016年後半に設立したスタートアップだ。

 Fordは2021年までに、業界団体の米SAE Internationalが「レベル4」と位置付ける一般道も対象とした自動運転を実現する計画。Argo AIはそのために必要となる機械学習ベースの自動運転ソフトウエアを開発する。2017年中にArgo AIの本社があるペンシルバニア州ピッツバーグ、Fordの本社に近いミシガン州南部、そしてカリフォルニア州サンフランシスコ周辺の3カ所で200人のエンジニアや研究者を集めるとする。

 Argo AIはGoogleで自動運転車の開発に従事していたBryan Salesky CEO(最高経営責任者)と、Uberで自動運転車の開発に従事していたPeter Rander COO(最高執行責任者)が設立したスタートアップ。Salesky氏とRander氏はいずれも、自動運転車の開発で著名な米Carnegie Mellon University(CMU)の「National Robotics Engineering Center」の研究員だった(写真)。これまで活動内容を明らかにしない「ステルスモード」だったため、Argo AIがどのような技術を開発してきたのかは不明だ。

写真●米Ford Motorと米Argo AIの経営陣
写真●米Ford Motorと米Argo AIの経営陣
写真左から、Argo AIのPeter Rander COO、FordのMark Fields President兼CEO、Argo AIのBryan SaleskyCEO、FordのRaj Nair CTO(最高技術責任者)(出典:米Ford Motor)
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独立を維持して従業員を厚遇

 FordはArgo AIの過半の株式を保有することになるが、Argo AI自体はFordから独立した事業体として活動し、従業員もArgo AIのかなりの量の株式を保有できることになるとしている。現在シリコンバレーでは、自動運転に欠かせない人工知能ソフトウエアの研究者やエンジニアの獲得競争が起きている。Argo AIをスタートアップのままに維持し、職場環境や金銭面での好待遇を従業員に提供することで、優れた研究者やエンジニアを確保する狙いがある。

 Fordは2016年5月に、自動運転技術の開発子会社である米Ford Smart Mobilityを設立して、シリコンバレーの中心地であるパロアルトと、Ford本社のあるミシガン州ディアボーンにソフトウエア開発拠点を設けている。Ford Smart Mobilityは、自動運転車を活用した物流サービスやタクシーサービスなどを開発する会社であり、Fordとしては自動運転車の実現だけでなく、それに伴う自動車業界そのものの変革も狙っている。FordのPresident兼CEOであるMark Fields氏はプレスリリースで「今後の10年間を定義するのは自動運転技術であり、自動運転車は100年前に生まれた“フォード生産方式”に匹敵するインパクトを、これからの社会に与えることになるだろう」と述べている。