AI活用を主導する担当者の役割を明確化

 新たな社名のもと、北島氏は新規事業と人事をはじめとする組織改革を主導する。新規事業の一つが、2016年に首都圏1都3県で始めた「NOREL」。月額4万9800円でポかルシェやテスラなど様々なクルマを乗り換えられるサービスだ。北島氏は「車のサブスクリプションモデル」と表現する。

 こうした新規事業でIDOMが目指すのは、クルマをサービスとして提供するCaaS(Car as a Service)カンパニーだ。その実現に向け、人工知能(AI)やビッグデータ分析といった最新ITを活用していく。

 AIはコンタクトセンターでの顧客対応やチャットによる顧客とのやり取り、最適な価格決め(プライシング)、販売店支援などに利用する。販売店支援では、クルマの画像を認識してそのクルマに関する情報を自動で入力する。

 最新ITを効果的に活用できるように、組織改革も進めている。プライシングについては、AI活用などに責任を持つ「ケイパビリティーグロース」と呼ぶロール(役割)を新たに設けた。従来は店舗での販売、EC(電子商取引)サイトでの販売、オークションを通じた販売のそれぞれについて値付けのロジックを作成しており、担当者も異なっていた。

 これを値付けのロジックを一元化し、ケイパビリティーグロースの担当者がAI活用を含めて値付けロジックの責任を持つ形に変えた。「これまでは事業部長の声が大きかったが、今後はケイパビリティーグロースの担当者が大きな権限を持つことになる。人材の役割や価値が変わる」と北島氏は話す。

■変更履歴
記事公開時に、1ページ目最終段落で「新社名の名付け親は北島氏」としていましたが、取材先の申し入れにより「新社名は社員から募った」に訂正しました。本文は修正済みです。[2017/3/6 11:30]