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 「無線LANに接続するデバイスや通信データ量は急増している。しかし、無線LANインフラの品質はそれに追いついていない。我々はこの問題を人工知能(AI)を使って解決する」。米ミストシステムズの共同創業者 兼 最高経営責任者(CEO)であるSujai Hajela氏は、同社が提供するクラウド管理型無線LANシステムをこう説明する。ネットワンシステムズのグループ企業であるネットワンパートナーズは2017年5月22日、パートナー企業経由でこのシステムの販売を開始した。

米ミストシステムズの共同創業者 兼 最高経営責任者(CEO)であるSujai Hajela氏
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米ミストシステムズの共同創業者 兼 最高経営責任者(CEO)であるSujai Hajela氏

 このシステムは、無線LANとBLE(Bluetooth Low Energy)の両方の電波を出力する専用のアクセスポイントと、AI=機械学習機能を備える専用のクラウドサービスである「IWC」(Intelligent Wireless Cloud)からなる。無線LANによる通信を提供するだけでなく、BLEを利用してデバイスの位置情報に応じたサービスも提供できる。

 主な特徴は二つ。まず、機械学習によって高品質で安定した無線LAN環境を提供する点。

 既存のクラウド管理型無線LANシステムとしては、米シスコシステムズの「Meraki」が有名だ。ただ、Merakiは主に導入の容易さに主眼を置いたシステムであり、小規模な無線LANの構築に向くとされている。これに対してミストの無線LANシステムは、機械学習を利用して障害の予兆の検知や障害の原因の検出を自動化しているため、管理の手間が大幅に減り、大規模な無線LANの構築にも使えるという。

 具体的には、ネットワーク管理者が「接続にかかる時間」「スループット」「ローミングにかかる時間」などのしきい値を事前に決めておく。同システムは、これらに基づいて無線LANの状態をチェックし、障害の予兆を検知したり、障害の原因を自動的に検出する。さらに、障害が発生したと判断して通信パケットを自動的に保存する機能も備えている。これにより、ネットワーク管理者が障害の原因を特定しやすくなる。

ミストがWebで提供している管理画面
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ミストがWebで提供している管理画面

 もう一つの特徴は、「仮想ビーコン」という機能を使って、デバイスの位置情報を利用したサービスをユーザーに提供できる点。

 店舗や駅、空港などでは、ビーコンを利用することで位置情報に基づく情報を提供する取り組みが増えている。デバイス側で、iOSでは「iBeacon」、Androidでは「Eddystone」という機能を主に利用することで、そうした情報を受けることが可能だ。

 ただ、物理的なビーコンは両面テープで固定するものが多く、はがれてしまう可能性がある。また、電池駆動なので電池切れのおそれもある。一方、仮想ビーコンは管理画面からリモートで簡単に設置や位置の変更ができ、電池切れの心配もない。

 仮想ビーコンは、ミストが持つ「Virtual BLE」(vBLE)という特許技術で実現している。アクセスポイントから8本のBLEビームを出し、そのエリア内に仮想的にビーコンの位置情報を割り当てる。エリアに入ってきたデバイスが受信したBLEビームの信号強度をIWCで解析することで、デバイスの位置を割り出し、その位置に応じてデバイスに情報を提供する。機械学習を利用して、デバイスの機種や使用状況による信号強度の揺れを吸収することで、位置の誤差を3m以内に抑えたという。

 ただし、仮想ビーコンを利用するには同社が提供するソフトウエア開発キット(SDK)を使って専用のスマホアプリを開発する必要がある。仮想ビーコンはiBeaconやEddystoneでは使えない。iBeaconまたはEddystoneを利用する場合は、それぞれのアクセスポイントが「異なる方向にビームを出す8個のビーコン」として機能する。

敷地内に入るとスマホのカメラが使用禁止に

 このシステムは、マイクロサービスアーキテクチャを採用している。共通のバスに各機能のプロセスを接続する形になっている。このため、機能の追加や変更が容易だという。

 さらに、すべての機能をREST APIで公開している。これにより、ユーザー企業が独自のソフトウエアを開発してシステムを制御することもできる。例えば、ある大手IT企業は、ミストが提供する管理画面をまったく使わず、独自に開発したソフトウエアで無線LANの自動制御を実現している。また、ある防衛関連企業では、仮想ビーコンとモバイルデバイス管理(MDM)ソフトを連携させることで、オフィスの敷地内に入ったらスマートフォンのカメラが使えなくなるというシステムを構築したという。