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 7年前から3カ月に1回のペースで続けている勉強会がある。メンバーは5人で、通信業界にかかわる人たちだ。堅苦しい勉強ではなく、食事をしながらの情報交換といったところである。この会の仲間である小板橋太郎さんが初めての著書「異端児たちの決断 日立製作所 川村改革の2000日」(日経BP社刊、1620円)を出版した(写真)。

写真●『異端児たちの決断 日立製作所 川村改革の2000日』
写真●『異端児たちの決断 日立製作所 川村改革の2000日』
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 さすがに新聞記者として鍛えが入っているのだろう、冒頭からぐいぐいと引きこむような筆力で一気に読ませてしまう。2009年3月期に国内製造業史上最大の7800億円の最終赤字を計上した日立が、2014年3月期に5300億円の営業利益を上げ、自社の最高益を更新するに至った5年間の改革劇を描いている。

 それはいったん日立の副社長を退任し、子会社の会長に就いていた川村隆氏が日立の社長兼会長に復帰したところから始まる。予備役が現役の総大将に復帰するような異例の人事であり、川村氏を中心とする経営陣は著者によれば「異端児」だ。自らの地位を保つことなどつゆほども考えず、32万の大日立の改革を成し遂げた過程が生き生きと書かれている。

 さて本論に入ろう。先日、筆者が担当するお客様のネットワークで、ある拠点のネットワーク設備や回線を移設する工事があった。広大な工場で、100メートル以上離れた場所への移動である。技術的に難しいことなど何もない単純な移設なのだが、これが一仕事であった。

 レイヤーゼロの調整・工事が大変なのである。

自営の電柱を建てる

 レイヤーゼロとは、OSI参照モデルの1層(物理層)から7層(アプリケーション層)のいずれでもない、1層の下の層である。具体的には、配管、ケーブル、ラックなどの設備とその工事のことを指す。といっても、筆者が勝手にレイヤーゼロと言っているだけで正式な業界用語ではない。ケーブルは1層じゃないか、という人もいるだろう。