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 講演は筆者にとってレジャーのようなものであり楽しみでしかない。しかし、9月11日の大阪での講演を前にした数日は、めったにない心身ともにハードなものになってしまった。講演当日、体調は万全とは言えず「大丈夫かなあ」と思いながら品川駅でうなぎ弁当を買い、のぞみのグリーン車に乗り込んだ。

 大阪環状線の京橋駅からうんざりするほど長い歩道橋をツインタワーまで歩き、その中を通り越してさらに300メートルほど歩いたところにクリスタルタワーがある(写真1)。20階の講演会場からは大阪城がきれいに見えた(写真2)。

写真1●クリスタルタワー
写真1●クリスタルタワー
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写真2●20階から大坂城が見える
写真2●20階から大坂城が見える
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 さて、本論に入ろう。いささか古い話だが7月23日付の日本経済新聞朝刊に「社内電話クラウド移行IHI、運用コスト2割減」という記事が掲載された。企業電話の記事が日経新聞に載るのは何年ぶりだろう、と驚いた。

 構築を担当するNTTコミュニケーションズも同日にニュースリリースを出していた。新聞より少し詳しく、オンプレミスのPBX(構内交換機)と比較して初期コストが30%、運用コストが25%削減できるとある。NTTコムのクラウド音声サービス(クラウド電話)とNTTドコモのFMCサービスを使ってPBXレスを実現するという。

 クラウド化しても電話のコストはあまり削減できないはず、というのが筆者の疑問である。IHIの情報は限られているので、一般的なIP電話のモデルで考えてみよう。

クラウド化でコスト削減は困難

 モデルは次の5点で定義する。(1)1棟のビルで多機能タイプのIP電話機500台を使ったIP電話システムを構築、(2)電話のためにLANを新設、(3)配線工事は壁貫通などのない簡易な工事とする、(4)IP電話サーバーと外線収容ゲートウエイ(GW)は2重化する、(5)外線としてひかり電話100チャネルを使用。
 概算コストはサーバー700万円、外線GW150万円、IP電話機1250万円(2.5万円×500台)、ネットワーク機器400万円、設計・配線工事1000万円、合計3500万円。

 クラウド化して変わるのはサーバーの費用だけである。IP電話機や配線をクラウドに持っていくわけにはいかない。サーバーの初期コストに占める割合はわずか20%であり、これをクラウド化してゼロにできたとしても20%の削減にしかならない。初期コストはゼロにできたとしても、オンプレミスでは不要な毎月の料金が発生する。一般論で考えるとIHIの30%削減は単なるクラウド化では難しいのである。