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 「グローバルで戦える体質に変化させる」。富士通の田中達也社長は10月末の経営方針説明会で、事業構造の改革に取り組む決意をこう表現した。実現に向けた第一弾の施策が、コモディティ化したパソコンと携帯電話の事業を分離、子会社化することだろう。デバイスソリューション事業もグループ会社に任せて、富士通本社はテクノロジーソリューション事業に経営資源を集中する。

危機感の欠如が根底に

 富士通がかつてお手本にした、米IBMの落ち込みが止まらない。15年第3四半期(7月~9月)で14四半期連続の減収で、原因の1つがクラウドの台頭による収益モデルの変化、と言われている。PCベンダーの米デルがストレージベンダーの米EMCを買収するのも、そうした危機感の現れだろう。

 一方、富士通はプロダクト販売の落ち込みをSIサービスなどでカバーし、売上高は10年前とほぼ同じ約4兆7000億円を維持。売り上げの6割強を占めるテクノロジーソリューション事業も、この10年間3兆円前後で推移している。

 だが、世界のIT市場は、この10年で2倍以上の成長を遂げている。米グーグルなど新興企業の勢力が拡大する中で、富士通の業績は明らかに伸び悩んでいる。古参のITベンダーではなく、新興IT企業の力に期待するユーザー企業も増えつつある。

 こうした地殻変動を認識すれば、危機感を募らすはずだ。なのに、「つぶれるわけがない」と安心し、変革の必要性を感じない社員や幹部が多くを占めていたら、企業はどうなるだろう。