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 「日本のシステム構築(SI)の手法やビジネスモデルで、海外に持ち込めるもの? いや、皆無じゃないかなあ」。ある国内大手ITベンダーの幹部は、記者の問いに残念そうに答えた。「私も海外事業でいろいろ試してみたが、日本のSIモデルは特殊と認めるしかない。海外とのシナジーは期待しない方がいいよね」とも。

 日本のSIモデルは特殊――このように言われるようになってから、もう数十年が経つだろうか。

 ちょうど1年前の2014年2月4日、記者は本欄に「多重下請けは本当に必要悪なのか──ポジティブな改善策を考えてみる」と題する記事を執筆した。

 だがこの記事では、日本の伝統的なSIモデルの問題を指摘するにとどまり、新たなSIのビジネスモデルを提示するには至らなかった。それは1年にわたり、記者にとっての宿題だった。

伝統的SIがもたらす弊害

 改めて、日本の伝統的なSIモデルの特徴と、それがもたらす悪弊について書いておこう。

 大手SIer(システムインテグレーター)が請け負った仕事を、2次請け、3次請け、4次請けと下ろしていく「多重下請け構造」。ITベンダーが要件の定義からシステムの完成責任まで一手に担う「一括請負」。優秀な人もそうでない人も一律に、1人×1カ月の単価で扱われる「人月見積もり」。この三つが、日本のSIモデルに見られる大きな特徴である、