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銀行のクラウド移行は2016年に始まっていた

 こうした影響を最初に受けるのは、銀行業界だ。MUFGがクラウドファーストに舵を切る中、それに追随する銀行が現れるのは想像に難くない。注目されるのはその時、国内のクラウド需要を国内のITベンダーが受け止め切れるかという点だ。

 AWSや米Microsoftの「Microsoft Azure」関係の技術者は、ただでさえ不足しているとされる。銀行業務を理解しているクラウド技術者となると、さらに数が絞られる。巨大なIT予算を持つ銀行業界の案件が加われば、人材不足に拍車が掛かるのは必至だ。

 クラウド人材の獲得競争が熱を帯びているのは、海外の銀行業界も同じである。米Treasure DataでVICE PRESIDENT OF MARKETINGを努める田村 清人氏によると米国の先進的な銀行は、自らAWSのイベントで大規模なブースを出展し、クラウドに前向きな姿勢をアピールしているという。クラウド人材のリクルーティングが目的だ。

 しかも日本の銀行業界のクラウド需要が本格的に表面化するのは、それほど先のことではない。銀行業界のクラウド移行は「これから始まる」のではなく、「既に始まっている」からだ。

 実はMUFGのAWS採用は、突然降って湧いた話ではない。既に一部システムはAWSで稼働済みという状態だ。三井住友フィナンシャルグループは2016年5月の段階で、米Microsoftの「Microsoft Azure」を採用を決めている。みずほフィナンシャルグループも準備は進めているだろう。ネット銀行では、ソニー銀行やジャパンネット銀行が既にAWSを採用済みだ。銀行業界のクラウド化は、2016年の時点で確かに動き出している。

 こうした動向は、金融分野におけるITベンダーの競争原理にも変化を生じさせる。AWSやMicrosoft Azureといった大手クラウド事業者の技術に精通した人材やノウハウがどれだけ充実しているかが、銀行業界向けのシステム開発でも重要な要素になり得るからだ。