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 AI農業は、一般にいわれている「農業IT」とは少し路線が違う。一般に農業ITといえば、工業製品のように温度・湿度・日照・給水量などを制御して屋内環境で栽培する「植物工場」や、自動運転機能を備えた農機で農作業を支援する「大規模省力農業」などだ。これらは、どちらかと言えば「量を作る」ことを優先した取り組みと言えるだろう。

 それに対して「AI農業」は、「質」に注目している。もちろん、一定量を生産できなければ産業として成立しないので、AI農業の目指すところは、「質で付加価値を出せる中での最大生産量」だと筆者は解釈している。

 少し話はそれるが、日本のメーカーが衰退した要因の一つは、海外製品と質で差をつけることができず、量で勝負せざるを得なくなったからだといわれている。

 そう考えれば、「質で付加価値を出せる中での最大生産量」というのは正しい考え方だ。もちろん、「植物工場」や「大規模省力農業」といった取り組みも重要である。安定して農作物を作れるし、重い農作業負担を軽くできるからだ。

 これまでの農業ITの取り組みを否定する考えなど全くないが、日本には「熟練農家の技」という特筆すべきノウハウがある。そこにもっと注目したほうがいいように思う。