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 こういう比率の人たちで構成された社会はどうなるか。米国では3人に1人いる楽観的な傾向を持つ人が、日本では20人に1人しかいない。逆に、日本人の半分以上が、モノゴトに悲観的な傾向を持つ人であるとも言えるわけだ。あくまで仮説だけど。

 「悲観的」と書くと悪いことのようだが、必ずしもそうとは言えない。例えば、モノゴトの成否に慎重で、確実性を重視するとか、一発逆転のギャンブルを狙うのではなく、真面目にコツコツ働く勤勉さを好む「日本人気質」は、遺伝子比率によるもの、と言えるのかもしれない。

 ただ、悲観的な傾向を持つ、確実性を重視する性向が強い集団は、同質性を好む方向に行きやすい。みんなが真面目にコツコツやるのが前提の集団で、一人だけズルしてサボったらその人だけが得をしてしまう。一人二人なら良いが、その人たちを見てみんながサボリ始めたら、集団全体に被害が及ぶ。なので、悲観的な傾向を持つ人たちは、そうなる前に「裏切り者」を探し出して排除する仕組みを発達させる。

 中野先生は「裏切り者検出モジュール」と説明していたが、SS型の遺伝子比率が多い集団では、ささいな違いを検出する能力が磨かれ、集団の正義への感受性が高まる傾向が出やすいのだという。

 ネットの炎上で、正義感に燃えて「恩人への裏切り」や「不倫の恋」を断罪する人がわさわさ出てくる理由を脳科学的に説明するとこういう話になる。SS型遺伝子の比率の多い民族性が、正義感あふれるネットの炎上を生んでいるというわけだ。

 ところで、なぜ日本人とアメリカ人で遺伝子型の保有比率がこれほど違っているのだろうか? それにも仮説がある。簡単に言えば、日本ではSS型遺伝子の人が生き残りやすい社会が長く続き、米国は逆にLL型遺伝子の保有者の方が生き残りやすかったということになる。