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 5人連続である。記者がある日、帰宅時に歩いていると、すれ違った通行人が5人連続で歩きながらスマートフォンに見入っていた。うち一人はすれ違う寸前まで記者の存在に気付かず、お互いに避けるはめになった。

 歩きながらスマートフォンを使う「歩きスマホ」。肯定的な意見を持つ人はわずかだろう。通話はともかく、ゲームや動画、SNSなど、画面を見る必要のあるアプリを歩きながら使うケースは、本人にとって危険なだけでなく、周囲を歩く他人に迷惑にもなる。

 東京消防庁によれば、2012年から2016年までに「歩きながら」「自転車に乗りながら」スマホを使っていての事故で、193人が救急搬送された。2016年に限れば50人と、過去5年で最多という。

 携帯電話会社や鉄道会社、自治体は、歩きスマホ対策に苦慮している。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯電話会社3社は、それぞれ歩きスマホを警告するアプリを提供している。内蔵のセンサーなどを使って歩いていることを検知したら、警告を表示したりスマホを強制的に使用不能にしたりする。

 鉄道の駅や街中でも、歩きスマホの危険性を訴えて止めさせるポスターや音声アナウンスが目立つようになってきた。壁面だけでなく階段全面に意見広告を表示するなど、知恵を絞っている。

 しかし記者の主観を述べれば、残念ながらこれらが効果を発揮しているようには思えない。歩きスマホ防止のスマホアプリは、基本的には利用者自身がインストールしなければいけない。歩きスマホをしてしまう人が、わざわざ防止アプリを自分の端末に取り込むだろうか。その意識があるなら、最初から当人は歩きスマホをしないだろう。インストール済みの端末もあるが、設定を変えれば警告機能を解除できてしまう。

 危険性を伝えるポスターや広告はどうか。あくまでマナーに訴えるものだから、止めるかどうかは本人任せである。歩きスマホをしている人はスマホの画面を凝視しているから、そもそもポスターを見ないかもしれない。