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 東急ハンズ、ファーストリテイリング、丸紅のように、従来のオンプレミス(自社所有)環境ではなく、パブリッククラウドサービス(以下クラウド)を第一選択肢とする「クラウドファースト」の方針を掲げる企業は珍しくなくなった。Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureをはじめとするクラウドは、エンタープライズ分野にも急速に浸透しつつある。

 そのため、ユーザー/ベンダーを問わず、多くのITの現場はクラウドへの対応を迫られている。そういう状況下にあるITエンジニアからは「クラウドではシステム開発・運用の従来の常識が通用しない」という話をよく聞く。そのことが主な原因になり、特にクラウドを使い始めたとき、手戻りにつながるミスを犯しがちだという。

 手戻りにつながるミスは、いわば「クラウドのつまずきポイント」。これを網羅的に集めると、企業情報システムを担当するITエンジニアの役に立つはずだ。そう考え、2016年4月20日創刊のAWS・Azure専門ニューズレター「日経クラウドファースト」の購読者向けに『AWS・Azureのつまずきポイント2016』という冊子を編集した。

 AWS・Azureの主要サービスのつまずきポイントの寄稿を、取材先に依頼したところ、AWSで44個、30個の題材が集まった。ここではそのなかから、AWSのつまずきポイントを三つ紹介しよう。

仮想マシンを停止するとデータが消える

 1つめは、仮想マシンサービスAmazon EC2のインスタンスを停止あるいは終了するとデータが消える、というものだ。EC2には外付けストレージのEBS(Elastic Block Store)ボリュームとは別に、インスタンスストアという物理的に接続されたいわば“内蔵ディスク”がある。