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 「ノー残業、楽勝!予算達成しなくていいならね」。

 大写しになったモノクロの人物写真の上に、黄色い太文字が浮かび上がる。2017年5月中旬、JR品川駅(東京・港)。取材先から会社への道すがら、筆者が見かけたデジタルサイネージ(電子看板)の広告だ。

 強烈な広告コピーに驚いて周囲を見渡すと、別のバージョンが3つあった。「さようなら深夜残業。こんにちは早朝出勤。(苦笑)」「結果出せおじさんと、早く帰れおじさん…(ため息)」「労働時間削減、結局現場にムチャぶりですか?」ーー。

 筆者は電子看板を見上げながら「世の働き方改革ブームに戸惑う会社員の、上司に言いづらい本音をうまく代弁しているな」と感じた。一方、身に覚えのある上司にとっては耳の痛い話かもしれない。

 今の働き方改革の大きな柱は長時間労働の是正だ。そのこと自体に異論を唱える人はあまりいないだろう。ただ、日本が不況になってから長いので、どの企業も職場ですぐに効果が出るようなムダの削減にはとうに手を付けている。そこからさらに時短の“余地”をひねり出すのは簡単ではない。業務の量やプロセスの見直しより先に上司から「もっと時短を」と言われても現場は戸惑ってしまう。