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 記者をしていると、ときおり思いがけない資料を目の当たりにすることがある。そして往々にして手に入れた資料をどう使えばいいのか、悩むことになる。

写真●米スクエア、ビジネス・リードのフランソワーズ・ブロッカー氏
写真●米スクエア、ビジネス・リードのフランソワーズ・ブロッカー氏
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 先日もそうだった。スマートフォン決済サービスを展開する米スクエアの幹部が来日し、インタビューをしていたときのことだ。ビジネス・リードのフランソワーズ・ブロッカー氏(写真)に様々な質問をぶつけていく中で、日本での事業展開の現状に満足しているかと質問した。特に何かを期待していたわけでもない。こうした外資系企業の本社幹部取材の場合、たいていは「日本の素晴らしいチームのおかげで大変満足した結果を残せている」とお決まりのコメントが返ってくるのが通常だ。

 だが、ブロッカー氏は違った。微笑みながら「これを見てくれれば分かるわ」と1枚の紙を手渡してきたのだ。そこに書かれていたのは日本での競合も含めた、ある意味、シェアを示す数字だった。「これはニュースだ」と心が沸き立ち、持ち帰ったものの、その後、1カ月ほど悶々とこのデータの使い方で悩むことになる。結局、この「記者の眼」で取り上げることになるのだが。

業界の空気を一蹴したスマホ決済のシェア

 まず、スクエアについて少し紹介したい。スクエアを起業したのは米ツイッターの創業者でもあるジャック・ドーシー氏。2009年に米国で起業した。クレジットカードをスワイプできる小型端末と専用アプリを組み合わせることで、スマートフォンやタブレット端末をクレジットカード決済端末へ変えられる。クレジットカード社会と言われる米国でも、個店の多くは初期導入費用や決済手数料の高さでクレジットカード決済端末の導入を見送っていた。そこに初期導入費用はほぼ無料で、かつ、手数料が2.75%というスクエアのサービスが登場したことで、一気に導入店舗が拡大。加盟店数は現在、数百万店舗を超えており、2014年の年間決済額は300億ドル(約3兆7200億円)に達している。

 スクエアが日本で開始したのは2013年5月だ。CEO(最高経営責任者)のドーシー氏はサービス開始前に数回にわたって来日し、日本の商慣習を視察していた。現金決済の多い日本ではたして受け入れられるのか、電子マネーの普及がスクエアの事業の妨げにならないか、様々な検討を重ねた結果、米国、カナダに次いで日本に参入することを決めた。