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 総務省の統計によると、2015年12月末時点での契約数は343万9000。このうちデータ通信に利用しているのは、約15万回線である(NTTのISDNサービスの数字)。

 ISDNの終了は、いったいどれほどのインパクトがあるのか。ユーザーに取材してみると、先にも述べたが様々な業界で少なからず影響があることがわかった。「2020年度後半までにIP網へ移行するのは難しい」という声が多く挙がっている。

すぐに移行可能なサービスが見つからない

 ISDNは、ラジオ放送やEDI(Electronic Data Interchange)、警備、エレクトロニックバンキング(ファームバンキング)、保険の請求、POSレジなどで利用されている。中でもラジオ放送は、すぐに乗り換えられる通信サービスが存在しないため、影響が大きい。

 例えば、エフエム東京は臨時回線と常設回線としてISDNを使っている。臨時回線は、コンサートや選挙といったイベント会場から一時的に中継するために使う回線。常設回線は他の放送局や交通情報センターなどと結ぶ回線である。

ラジオの中継で使うコーデック
ラジオの中継で使うコーデック
ターミナルアダプターと一体型のもの。
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 ISDNのメリットは(1)帯域保証、(2)広いカバーエリア、(3)短期間で開通、(4)低コスト──の四つ。同社 総務局 技術部長 兼 マルチメディア放送事業本部 開発部長の川島 修さんは「IP網を使った現状のサービスで、これら四つのメリットを実現できるものがない」と話す。

 代替のサービスとしては、音が途切れないという点で、帯域確保型のデータ通信サービスであるひかり電話の「データコネクト」が有望視されている。だが、データコネクト向けのコーデック(音声を通信回線に合わせて符号化処理するための機器)は、これから開発しなければならない。川島さんによると、コーデックを開発し、すべてのラジオ局が入れ替えを終えるまでに、10年ほど必要だという。