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 ITを農業に活用する試みが、全国で行われている。秋田県では、ITを利用してトマトなどの農作物を年2回収穫する「二期作」を実現するための実証実験が進んでいる。実際に見学する機会があったので、その様子をお届けしたい(写真1)。

 「秋田アグリクラウド」──これが秋田で進むIT農業プロジェクトの名称だ。

写真1●栽培に取り組んでいるベリートマト(撮影:淡路敏明、ただし編集部と記したもの以外)
写真1●栽培に取り組んでいるベリートマト(撮影:淡路敏明、ただし編集部と記したもの以外)
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 秋田県が2014年度から創設した「先導的技術等開発事業」に、エイデイケイ(ADK)富士システムという地元ベンダーが中心となってこの事業を申請し採択された。民間からは同社と制御装置・計測機器メーカーのアクトラスの2社、官からは秋田県農業試験場と秋田県産業技術センター、合計4つの組織がコンソーシアムを組んで実証実験を実施。実際の作物の栽培も、地元企業の秋田農販が請け負う。オール秋田体制で臨んでいるのだ。

農業が抱える問題をITで解決できないか

 アグリクラウドは、就農者の減少や高齢化などの課題に対して、ITの活用によって省力化、技術共有、新規就農者支援などを目指している。まず第一段階として、データを収集するために、パイプハウス向けのデータセンシングシステムを構築。環境監視センサーを設置し、クラウド上にデータ基盤を作ってデータを蓄積する。第二段階として、蓄積した大量のデータをビッグデータ分析し、作物単位で気温や湿度、日照時間などのベストミックスを探り出し、それを基に「デジタル栽培レシピ集」を作成する。

写真2●秋田県農業試験場でレクチャーを聴く
写真2●秋田県農業試験場でレクチャーを聴く
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 この実証実験を見学する機会があった。都道府県CIOフォーラムという任意団体が、秋田県秋田市で年次総会を開催した際に、通常プログラムの終了後に秋田県農業試験場を視察するツアーを実施。これに参加したのだ。ちなみに都道府県CIOフォーラムは日経BP社に事務局があり、都道府県・関係団体のCIO(情報化統括責任者)または情報化推進担当責任者で構成されている。相互の情報共有や民間IT企業も含めた意見交換を通じて、IT 施策の推進に寄与することを目的に2003年に設立された(詳しくはこちらへ)。

 秋田県農業試験場は、秋田空港からほど近くにある(写真2)。市内から緩やかな丘をいくつも越えていくと、茶色の建物と白い“パイプハウス”が姿を現す。パイプハウスとは、園芸農業で温室効果を期待して利用されるビニールハウスのうち、パイプを骨組みに利用しているものを指す。そこでは、県農産物のブランドを確立するために、米、スイカ、枝豆など様々な産品の新品種や栽培技術、周年生産技術、病害虫防除技術を開発している。