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本人確認書類を巡る魔のスパイラル

 財布を無くしたことのある方は経験があるだろうが、大変なのはここからだ。キャッシュカードやクレジットカード、運転免許証などを再発行する必要がある。これは、決して容易な作業ではない。

 まず悩んだのが手続きの順番だ。最初に取り戻したかったのは、キャッシュカードである。このままでは現金が枯渇する。通帳でも引き出せるが、コンビニATMでは使えないことが多く不便だ。幸いにも会社の近くに銀行があるので、明日にでも窓口に行って再発行手続きをしよう。

 そう考えた矢先に頭をよぎったのは、本人確認書類だ。運転免許証も健康保険証も財布と共に盗まれてしまった。窓口に行っても、自分が自分であることを証明できない。ならばと、運転免許証の再交付を優先しようと頭を切り替えた。

 警視庁のWebサイトを見てみる。住民票や健康保険証が必要と書いてある。そもそも健康保険証は盗まれているし、住民票も手元にない。

 結局、住民票を最初に取りにいくことにし、区役所のWebサイトを見て、己の愚かさを知る。当たり前だが、住民票の発行には本人確認書類が必要だった。

 本人確認書類である免許証の再交付には住民票が必要、住民票の発行には本人確認書類が必要、という魔のスパイラルに陥った。

 結局、住民票発行の必要書類欄を眺めていて、引っ越し準備で段ボールの奥底にパスポートをしまっていたことをようやく思い出し、本人確認書類を引っ張り出すことには成功した。もしパスポートを持っていない方であれば、さぞ面倒だっただろうことは想像に難くない。

待望の宅配ボックスが役に立たない

 残念ながら話は終わらない。

 財布を失って1週間後。カード類の再発行手続きを進めながら、新居に移った。以前のアパートとは違い、宅配ボックスが備え付けられたマンションだ。出張などで、EC(電子商取引)で買った荷物を受け取れないという苦い経験を何度かした筆者にとって、宅配ボックスは憧れと心強さを感じる存在である。

 ただし、一つ問題が発生した。部屋のインターホンが壊れていたのだ。不動産会社に連絡をしてメーカーに修理を依頼したところ、最速で2週間後という回答。これはまずい。再発行手続きをしたカード類は、「転送不要郵便」や「本人限定郵便」で送られてくるからだ。

 インターホンが鳴らなければ筆者が配送業者を出迎えることはできず、不在とみなされる。待望の宅配ボックスも使ってはくれないだろう。保管期限が過ぎると、銀行に戻ってしまう。インターホンの復活を待って、もう一度、各銀行に連絡するのかと思うと気が重くなる。

 しかし、ここは配送業者に助けられた。(良いことなのかは分からないが)オートロックをかいくぐり、玄関のドアをノックしてくれたのだ。おかげでカードを受け取ることができた。他のカードは、一度投函された不在連絡票に連絡をし、再配達時に携帯電話に連絡してもらうことで事なきを得た。