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 「金融庁の担当者が、ああいった場に顔を出すことは今までなかった」――。金融業界に詳しいITベンダーの担当者は驚きを見せる。彼が金融庁の担当者を見かけたのは、FinTechをテーマとしたイベントの交流会でのことだ。

写真1●スタートアップ企業の情報収集を強化する金融庁
写真1●スタートアップ企業の情報収集を強化する金融庁
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 FinTechに関するイベントは頻繁に開催されている。多くの場合、いくつかの講演の後に交流会が催され、そこで金融機関、ITベンダー、スタートアップ企業の関係者が人脈作りや情報収集にいそしむ。こうした“民間の社交場”に金融庁の人間も繰り出し、同じく情報収集に励んでいるわけだ(写真1)。

 霞ヶ関に場所を移しても、金融庁の積極的な姿勢は変わらない。筆者が「金融庁がここまでやるのか」と感じたのは、12月14日に同庁が発表した「FinTechサポートデスク」の設置だ。スタートアップ企業から、新事業に伴う法的リスクなどの相談を電話で受け付けるという。FinTech支援で世界の先端をいく英国政府が、この1年間実施してきた取り組みを追随するものだ。

1年で一変した日本のFinTech

写真2●金融審議会の様子
写真2●金融審議会の様子
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 さらに最近、金融庁が主催する金融審議会は、FinTechを推進するために重要な方向性を相次いで示した(写真2)。

 一つは、銀行による出資規制を緩和すること。銀行は他業禁止が原則。ただし12月16日の報告案で、「銀行が提供するサービスの向上に資する業務又はその可能性のある業務」であれば、認可を受けたうえで出資割合の上限を引き上げる方針が盛り込まれた。これにより、銀行とスタートアップ企業は、踏み込んだ提携を進めやすくなる。

 もう一つは、銀行によるオープンAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)について公式に議論を始めることだ。12月17日の報告案で、作業部会を設置して2016年度中に銀行APIのあり方をとりまとめる趣旨がうたわれた。公式な基準が定まれば、銀行側は安心してオープンAPIを公開できる。