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 Web版座席予約システムを構築する話は突然、社内で浮上した。競合他社で既にカットオーバーさせた事例が出てきており、私の勤務先においても検討を要する状況になっていた。そのことを、当時の営業責任者がある会議で熱弁をふるって説明したところ、Web版の予約システムが一気に現実味を帯びた。

 2003年といえば、どの業種の企業もWebによる受注システムを次々と世の中に出していった時期である。特に電子商取引サイトの増加には目をみはるものがあった。私が勤めている企業にも「この波に遅れてはならない」という空気が充満していた。

 従来、お客様は電話をかけるか、窓口まで行って座席を予約していた。電話のオペレータか窓口の担当者が座席予約システムを操作し、受注業務をこなしていた。時代は変わりつつあったから、Web版の座席予約システムを用意するという方針は真っ当だった。

 情報システムの担当者だった私から見ても良いタイミングに思えた。1999年11月に全社の基幹系システムを再構築し、さらにその2年後、基幹系システムの中心であり、月間数万件もの座席の予約状況を管理するシステムの機能を拡充した。

 再構築と大規模な機能拡充を経て、基幹系システムは安定稼働といってよい状態にあった。

「次はWebで開発してみたい!」

 早速、Web版の座席予約システムの検討を始めた。まず、どのような業務が必要か、分析することにした。並行して同業他社の事例やいわゆるBtoC(消費者向け)のWebシステムの動向を調査した。

 進め方の選択肢は二つあった。一つは新規に開発せず他社のサイトに相乗りする。開発しなくて済むのでリスクは少ない。ただし、他社のサイトが提供しているサービスを踏襲するしかなく、私達が提供したいサービスを実現できないかもしれない。現在であればクラウドを含め、多種多様なBtoCのWebサービスが提供されているが、その当時は数えるほどしかなかった。

 もう一つは自社で新規開発する。開発コストを含めリスクはあるが、提供したいサービスの実現は比較的容易だろう。どうするか、選択を迫られた。ユーザー企業に転職し、情報システム担当になってから、こうした根本的な方向を選ぶ機会が増えた。

 多角的に情報を収集した結果、Web版の座席予約システムを自社で新規に開発することにした。当社の事業には固有の業務が多く、それに合う新システムを作ったほうがよいと判断した。