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 実際の開発工程では、いわゆる業務分析と要求分析をDOAで行い、結果をXupperに登録していった。それ以降のシステム分析とシステム設計はUMLを使って実施した。UMLを使うのは初めてだったが比較的うまくやれたのではないかと自負している。実装に当たってはITベンダーが持っていたフレームワークを使ってコードを生成していった。

開発期間6カ月の半分を上流工程に

 開発途中で異動になり、営業マンになってしまったにもかかわらず、予定通り7月から12月までの約半年間でプロジェクトを完遂できたのは、DOAとリポジトリにこだわった効果だと確信している。

 リポジトリは期待通り、大活躍してくれた。特に自社で開発した基幹系システムとの連携部分について影響分析が容易にできたことが大きかった。

 Webシステムと基幹系を連携させるに当たって、現行の基幹系システムのプログラムを修正する必要があった。リポジトリが無かったならば、プログラムの変更の影響を調べる時間を見積もれず、サービス開始は半年から場合によっては1年近く、遅れていたかもしれない。システムの品質にも大きく影響したことだろう。

 無事成功に終わったこの開発では、開発期間約6カ月のうち、データモデル、業務フロー、プロトタイプの作成に2カ月半をかけた。プロジェクトの全工程のほぼ半分をいわゆる上流工程に費やしたことになる。その結果、いわゆる「手戻り」を最小限に抑えられ、後工程の生産性を格段に向上できた。

 本連載でたびたび述べてきた通り、派遣のSE・プログラマー時代には、進む方向やゴールをきちんと定めていないプロジェクトにいきなり放り込まれ、設計や開発に突入するものの結局は手戻りが大きくなり、後工程で泥沼に沈み込むことが多かった。Web版の座席予約システムの開発では、そうした痛い目に遭わずに済んだ。

 この時に身を以て体感した『上流工程に「正しく」時間をかけることの重要性』は今も私の中で原則として生きている。

 Web版の座席予約システムの企画を始め、半年後に開発を終えるまで、空を見上げた記憶がない。あの頃の空はどんなだったのだろうか。

営業マン時代の楽しみは築地のカレーライス

 私は営業マンでありながら、Web版の座席予約システムについて企画から設計、開発、そしてカットオーバーまで、システム屋として責任を持って取り組んだ。無事カットオーバーできたことで、システム開発から解放され、本来の仕事になった営業に戻り、お客様訪問に精を出した。

 実際には情報システムから完全に離れたわけではなく、情報システムに絡んだ仕事が発生すると、そのほとんどが私のところに回ってきた。システムについて現場の相談に乗ることもあった。とはいえ、業務の中心はあくまでも営業である。

 ソフトハウス時代、技術者として客先にたびたび派遣されていたが、営業マンとしてお客様を訪問するのはまるで勝手が違った。疲れ方が違うとでも言うのだろうか。慣れない営業マンの日々の仕事を、回りに助けられながら何とかこなしていった。