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 基幹系システムの構築を終えて少し経ったころから、外食関連企業の情報システム部門の人たちが集まる勉強会に参加するようになった。この勉強会は「ミニセミナー」と呼ばれている。

 ミニセミナーを知ったきっかけは、再構築の終了後、導入したPOSシステムのベンダーが開いたシンポウムに招待されたことだった。シンポジウムの後に開催された懇親会でミニセミナーを主催する人物と偶然出会った。

 ミニセミナーの主催者はつまらなそうな顔をして、懇親会場で歓談している人の合間を縫うように歩いていた。彼とは初対面だったが顔は知っていた。彼は外食産業のIT担当者としても、開発した業務システムをオープンソースにして公開した草分けとしても、有名な人だった。雑誌にたびたび取り上げられており、私は彼の顔を見かけたことがあった。

 懇親会場に私の知り合いはほとんどおらず、正直なところ手持ちぶさただった。そこへ偶然、彼が通りかかったので、思い切って私から声をかけた。彼も同じような状況だったらしく、すぐ打ち解けて話ができた。その場で「次回のミニセミナーに参加してみないか」と誘われた。

 ミニセミナーではいつもとても良い刺激を受けた。毎回テーマが決まっており、ゲストを呼んで話を聞き、皆で話し合う。派遣のSE・プログラマー時代に関わったシステムは金融関係が主だったから、外食企業のシステム担当者の話は新鮮で面白かった。

 ミニセミナーの会場は外食企業の店舗だったので、ゲストの講演が終わった後、そのまま会食になる。参加者は皆、とてもエネルギッシュで論客が多く、仕事柄なのかどうか、お酒を沢山飲んだ。飲みながらの議論は実に楽しく、当時は朝まで続くのが当たり前だった。

 ミニセミナーは2カ月に一度、現在でも主催者の熱意の賜で、開催され続けている。私は時間の許す限り参加するようにしている。ミニセミナーで出会った人達との付き合いは私にとってかけがえのない財産になった。

 余談だが、私が初めての書籍を出版することになったきっかけにも、ミニセミナー主催者が絡んでいる。彼はミニセミナーとは別にIT系のセミナーも開催しており、そこである出版社の方と数年ぶりに再会した。そこから執筆そして出版へと話が進んでいった。

 ミニセミナー主催者は私にとって恩人である。彼には今でもよく一杯付き合っていただいている。できることなら彼が嫌がらない限り、この付き合いを続けたい。

「やらなければならない!」、現場の馬力に目を見張る

 転職してから、これまでよりも利用者やお客様に近い情報システムに関わるという新しい体験ができた。営業マンもやってみた。それに加えて、ミニセミナーを通じ、それまで接点が無かった飲食の世界に興味を持つことができた。これはとても興味深いものだった。

 もう少し、新しい世界に突っ込んでやってみてもいいかな、とも思い始め、異動を受け入れる気持ちになっていった。

 私が異動になる飲食部門は当時、転換期を迎えており、体制を変更する必要に迫られていた。そこで、私に白羽の矢がたったようだ。事情はあるにしても、組織とはつくづく生き物だな、と思ったものである。