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 私が所属しているサービス企業は、食に対するこだわりも強く、「手作り感」にこだわった商品を提供していた。それには人の熱意、創意工夫が不可欠である。

 管理を強めることにより、うわべの生産性は向上し、衛生面の心配は軽減できるかもしれないが、本当の意味での「サービスの品質」はどうなるのか。「強み」を消してしまうことにならないのか。

 弁当工場は「中食」に分類される。同じ飲食でも「外食」とは違い、現場は「工場」であって「店舗」ではない。目の前にお客様がいない、お客様の顔が見えない。したがって、生産性をとことん追求しようと思えばできる。効率よい流れ作業として業務を設計すればよい。その際は現場の人を交換可能なツールとして扱うことになる。

 だが、これはやってはいけないと強く思った。あくまでも「手作り」の良さを生かしつつ、生産ラインを確立する。働いている人のモチベーションが下がる仕組みではいけない。モチベーションの問題はシステムで全て解決できるものではないが、システムでできることもあるはずだ。

 思いを新システムに盛り込もう!

 現場とともにサービス品質を高める仕組みを作り上げよう!

 甘っちょろいかもしれない。でも、自分自身が現場の一員でいる以上、どうしても譲れない思いだった。

 新システムはスクラッチで開発するしかない、と決断した。現場の強みを生かしつつ、管理すべき点を最小限、きっちり管理することにより、品質と生産性の両面にわたって効果を出す。こうしたシステムは自分たちでないと作れない。

 我々の思いを実現するシステムを既存のパッケージソフトを使って実現できるだろうか。生産管理パッケージなら、はいて捨てるほどあった。いくつかのデモを見せてもらった。現場のノウハウを吸収しながら成長させていったのだろう、どのパッケージも細部までよく考えられているように見受けられた。

 それでも、我々の思いを全て満たすのは難しそうだった。採用しても足りない機能を追加する、いわゆるアドオンの連続になってしまう。アドオンせず、パッケージに業務を合わせてしまうと、「手作りの職人感覚」の良さを失う。我々の強みを消し去ってしまいかねない。

 この考えに異論がある人もいるだろう。日本企業は生産性が低いのだから、ベストプラクティスを取り入れたパッケージに業務を合わせるべき、基幹システムをスクラッチで開発するなんて馬鹿げている、という人が多い。