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 そうした意見に私はある程度、同意する。一方、日本の強みは現場力である、という意見もある。これにはかなりの程度、同意する。どちらか一方だけが正しいということではない。パッケージを使ったほうがよい業務もある。誰が何と言おうがパッケージに合わない、合わせるべきではない業務もある。

新しい業務フローがすべての起点になった

 もう一度、新工場のための新システムの要件を列挙しておこう。

・伝票による伝達禁止(伝達内容がデータとして残るようにする)

・権限の明確化(誰がどの機能を使えるのか、はっきりさせる)

・受注、発注、調理に至るデータ連動強化(営業所、調達部門、調理担当の連携)

・予定通りの出荷(前日の作業変更や修整に対応し、間に合わせる)

・柔軟に組み換えできる生産管理体制の支援 (出荷順序の変更、緊急の追加・調整への迅速な対応)

・業務支援機能の充実(現行システムにおいて手作業になっていた業務のルール化と自動化、情報の絞り込みによる管理体制の構築)

 これらのシステム要件を実現すべく、現行の受発注システムを一部継承しながらも、大半の機能を新規に開発することにした。

 新しい業務フローが全ての起点になった。受発注、生産といった業務プロセスの大きな括りごとに、全ての業務フローを私がごりごりと描いていった。

 新業務フローの作成に当たっては、現行のラフ業務フローを参考にしつつ、HACCPの衛生面からの制約を盛り込み、過去にいただいたお客様からのクレームを改善できるように見直した。概要から詳細まできちんとレベルを分け、階層にして作成した。

 階層を基にしつつ、細部まで最初から完成させるのではなく、設計・開発過程で確定した事項をその時その時、書き込んでいった。こうして階層ごとに概要から詳細へと、少しずつ血の通った新業務の流れが固まっていた。

新システムは工場の現場を通る血管

 開発する新システムは工場の現場を通る血管のようなものだった。設計と開発を進めていく際、常に現場の人間を巻き込んでいくことを心掛けた。特に業務とその流れに関しては、現場の人間の視点から業務を表現し、その表現を業務フローという形で共有していった。

 冒頭で紹介した、現場の面々が集まり、業務フローを赤ペンでなぞっていた光景はこの段階のものである。新システムによる業務のイメージを共有すべく、システムを「作る側」「使う側」の立場を超えて、フロー線を赤ペンでなぞり、皆で確認していった。