PR

 それは、立体図は斜め線が基準となるので描きにくい上に、見えない面があるからです。直方体の場合、6面のうち3面しか表示されていないので、残りの3面に何らかの加工がある場合には、違った角度から見た立体図も描かなければなりません。また、立体図は1つの図に3つの面が同時に表示されているため、寸法や表面粗さといった情報を記入すると乱雑になり、読みにくい図面になってしまいます。そこで、これらを解決するために、ものを斜めから見た立体図ではなく、真正面から見た第三角法を採用しているのです。

 この第三角法の考え方はシンプルなので、「描き手」が自分の頭の中でイメージした立体形状を第三角法で表すことは簡単です。ところが、「読み手」はこの逆で、第三角法の図を見て立体の形をイメージしなければなりません。これが読み方の難しさの1つです。

 実は、関連書籍であっても、この「第三角法の図から立体形状をイメージする方法」についてはほとんど記載がありません。これは論理的に解説することが難しいからだと思います。しかし、経験を積めば誰でも形をイメージできるようになります。

 筆者は、第三角法の図から立体形状をイメージする際の思考手順を整理し、「木彫り方式」と名付けました。この木彫り方式では、まず角材を用意し、削る箇所を鉛筆で線引きしてから、その線に沿って削ります。全て削り終われば完成です。図面もこれと同じ手順で、紙の上にポンチ絵で直方体を描き、線を引いて不要な箇所を消していくことで、立体の形をイメージします。この木彫り方式については、今後のコラムの中でも紹介したいと思います。

 次に、寸法や表面粗さといった情報の読み方です。皆さんが仕事で使う図面には、これらの情報がびっしりと描きこまれているので、初めての人は少々たじろいでしまうかもしれません。しかし、1つひとつの情報はとてもシンプルなので、個別に見れば難しいものではありません。

 知識を習得する際には、「寸法数値と寸法補助記号」、「公差」、「表面粗さ」、「表題欄」のルールを理解してください。その際のコツとして、「公差」の中で「幾何公差(きかこうさ)」をとりあえず後に回しましょう。公差には「寸法公差」と「はめあい公差」、「幾何公差(きかこうさ)」の3つの種類があります。このうち幾何公差についてはいったん飛ばし、一通り学んで全体像をつかんでから最後に学ぶことをお薦めします。幾何公差は図面の描き手にとっても少々やっかいなルールなのです。

 次回にその理由を背景も含めて紹介します。