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大ヒットへ、予想の6倍売る

 こうして完成したゲーム&ウォッチは、「初年度(1980年)に10万台売れれば上出来」と読んでいた横井の予想を大幅に上回る約60万台が売れた。勢 いに乗って年末には、色を変えた「ゴールド・シリーズ」を市場に投入した。こうしてゲーム&ウォッチのシリーズ展開が始まった(図3)。

図3 シリーズ化で製品が多様化
図3 シリーズ化で製品が多様化
ゲーム&ウォッチは約70品種が市場に投入された。
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 次の企画は社長からの指示だった。それは「てっきり画面を小さくして安くしろ、という指示かと思っていたら、逆に大きな画面の製品を作れだった」(横井)。

 任天堂がゲーム&ウォッチを市場に投入するとき、目標としていたのは5000円を切ることだった。「5000円を切るかどうか、ものすごく大きな賭けだと思って、必死に努力した」と横井は言う。それでも目標は達成できず5800円となったが、他社から同時期に出てきた製品は、もっと値段が高かった。

 その後、競合他社は画面を小さくし、価格を下げた類似の製品を市場に投入してきた。市場競争が厳しくなってきたのである。社長からの指示は、競合他社の動向とは逆を行くものだった。

 こうして登場したのが、価格を200円上乗せしたワイド・スクリーン版である。大型化というよりも横長にしたわけだ。これが見事に当たった。結局、ゲームの表現力が増し、より面白いゲームができるようになったのが勝因と横井は分析する。

 結局、ゲーム&ウォッチは、シリーズとして70種類程度が市場に投入されることになった。8年間で、4800万台以上を世界中で売りまくった。

 このシリーズ展開の過程で登場してくるのが十字ボタンである。