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A.まずは会社側が在宅勤務や育児休業などを支援する姿勢を、様々な形で従業員に示す必要があるでしょう。例えば、サントリーは2010年9月を「S流仕事術トライ月間」として、およそ1000人の管理職にこの1カ月のうち1度は在宅勤務を経験させました。さらに、同社には配偶者の出産後5日間は父親も有給で休暇を取得できる制度があり、こうした制度を積極的に利用しつつ働き方を見直す機会として2013年から「ちちおやガイダンス」という研修を実施しています。

 このような施策は意識改革を促すきっかけ作りの参考になるものです。ただし変革を定着させるまでには、より改善が難しい課題もあります。中間管理職層が「個々の仕事の達成目標を明確にする」「無駄な仕事を積極的に発見してなくす」「特定の人に業務量が偏っている状況をなくす」「仕事の優先順位をつけて過剰品質な仕事のやり方は改める」といった視点から、仕事のやり方を改めるマネジメントをどこまで実践できるかどうかという問題です()。

図●中間管理職がカギ
図●中間管理職がカギ

 実際には、必要以上にフェース・トゥ・フェースでの仕事の進め方に対するこだわりを持ち、「在宅勤務は楽をするためのもの」と考える中間管理職層が変革の障害となることが、社団法人日本テレワーク協会などにより指摘されています。こうした組織では、「ワークスタイル変革に関する経営層の意向は現場社員に伝えているが、現場社員の意識が変わらない」といった声が中間管理職から挙がることが多いともされています。また、「従来の人事管理の仕組みがフェース・トゥ・フェースの働き方を前提としたものになっている」「育児休業や時短勤務は、所得ロスやキャリアロスにつながりやすい」といった問題を指摘する声が挙がることも多いようです。

 こうした問題に対処するためには、中間管理職層から吸い上げた意見について、個々のマネジメント姿勢の課題と、諸制度や情報基盤の課題とにまず冷静に切り分けましょう。後者の課題は、人事部に対しては現場の業務成果の計測や考課のあり方について再検討を、業務改善担当部門や情報システム部門などに対しては業務状況の可視化や作業の自動化を促すIT活用法の企画を、それぞれ要望する必要もあるでしょう。

 そうした取り組みを併行しつつ、中間管理職が現状をただ見守るのではなく、個々の部下の仕事のやり方を変えようとする意識が高まるように啓発を進める必要があります。例えば、同じ階層の中間管理職同士で悩みや知恵を出しあう機会を作る、あるいは、意識の高い取り組み事例を探し出して社内で事例共有するなどです。