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A.ワークスタイル変革を推進する狙いは多岐にわたりますが、比較的多いのは人材の「ダイバーシティ(多様性)」の確保です。特に女性活用の推進を挙げる企業は多いでしょう。企業に女性の登用を促す女性活躍推進法が2015年8月28日に成立し、企業に女性の採用比率や管理職の割合など数値目標の設定と公表を義務付ける制度が2016年4月から始まることから、女性活用を目指してワークスタイル変革を進める企業は今後、ますます増えるでしょう。

 女性活用のためのワークスタイル変革の具体的な課題としては、「従来、女性があまり活躍していなかった職種や職場にも進出しやすい環境を作る」「家事や育児と両立しながら能力を発揮できる環境を整える」などが考えられます。ただし、 女性活用推進には幾つかのステージがあり、その段階によっても具体的な課題は異なります。これから各職種で女性従業員を増やすことが課題という企業もあれば、大手化粧品メーカーなど女性が働きやすい職場環境はすでにできあがっており管理職層における女性比率を高めることに取り組んでいる段階の企業もあります。

 女性活用の推進には、勤労形態の多様化だけでなく、キャリア開発サポートなどが必要なことにも注意が必要です。そうした施策の必要性を物語る先行事例としては2004年からダイバーシティに熱心に取り組んでいる日産自動車があります(同社の解説ページ同社の講演資料1講演資料2)。経済産業省と東京証券取引所は共同で2012年度から、女性活躍推進に優れた上場企業を「なでしこ銘柄」に選定していますが、日産は3年連続で選ばれています。

図●日産自動車における仕事と育児/介護の両立を支援する主な施策(同社講演資料より)
図●日産自動車における仕事と育児/介護の両立を支援する主な施策(同社講演資料より)
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 日産では、育児介護をする従業員は月の所定労働時間の50%まで在宅勤務が認められるほか、家族のためのサポート休暇として、「結婚」「配偶者出産」「育児」「介護」「不妊治療」を理由とした「ファミリーサポート休暇」が1年間に最大12日間(内5日は有給)認められます。

 ほかにも、女性が産前休暇取得前に今後のキャリアや働き方についての不安などを同じ状況の仲間と共有し、休み中の心構えややることリストを一緒に作成していく「プレママセミナー」、スムーズな復職と復職後のワークとライフをサポートするための「復職セミナー」、仕事と育児の両立を応援するための社内SNSのコーナー「両立パーク」、休職中でも自宅から社内イントラネットにアクセスしたい従業員向けのパソコン貸し出し制度、といった様々な施策を実施しています。

 事業所によっては従業員専用の託児所を設けてあるほか、女性キャリアアドバイザーとの面談制度、女性管理職のロールモデルについての情報発信などにも取り組んでいます。

 日産がダイバーシティに熱心に取り組んでいる原動力は「男女問わず優秀な人材に活躍し続けてほしい」という思いです。加えて、「自動車の購入決定者の約6割が女性であり、クルマづくりにおいては女性の視点も重要」という認識もあったといいます。このように「なぜダイバーシティに取り組まないといけないのか」を明確にし、役員も巻き込んだ「ダイバーシティステアリングコミッティ」を立ち上げるなど、経営課題として取り組む体制作りがスタート時点では必要なようです。