PR

特集第3回の後編では、フェース・ツー・フェースのコミュニケーションの比重が高い「相談」のあり方を探る。ワークスタイル変革後の新たな「ほう・れん・そう」を活性化するためには、社員の意識を変えることも必要になる。

 前編で説明した「報告」と同様に、相談もワークスタイル変革によってコミュニケーションスタイルが大きく変わる可能性を秘めている。

 相談は主に、自分だけで意思決定することが困難な問題に対して、周りの意見を聞くことだ。通常は、その人にとって過去に経験がない問題が起こった際に発生する。会話の中身は、自分が抱えた問題と、その解決策の提示が中心となり、双方向でのコミュニケーションとなる。

 相談のコミュニケーション対象は、問題の解決策を知っていそうな人である。オフィスにいる時であれば、近くの上司や先輩とフェース・ツー・フェースのコミュニケーションをとることになるだろう。

 ワークスタイル変革によって、フェース・ツー・フェースのコミュニケーションの機会が減ると、相談の生産性は悪化する。電子メールではリアルタイム性が失われるし、電話では資料を示しながら対話することができない。

 こうした課題の解決策は大きく2つある。1つは、フェース・ツー・フェースのコミュニケーションをIT(情報技術)化すること。もう1つは、解決策を検索できるようなシステムを構築して相談の発生する件数を軽減することである。

対面のコミュニケーションもITで代替可能

 フェース・ツー・フェースのコミュニケーションを代替するITツールが、テレビ会議システムである。ほとんどのテレビ会議システムが、画面上で文書ファイルを共有する機能を備えている。

 従来は、導入コストが高価だったため、利用する企業は財務的な体力がある大手企業だけだった。しかし近年は低価格化が進み、導入企業の裾野が広がりつつある。導入コストは高くなるが、HD画質の大画面のビデオ会議システムは、実際に相手が目の前にいるような臨場感でコミュニケーションをとれる。

 このほかパソコンやスマートフォンからも利用できるWeb会議システムもある。オンプレミス(社内運用)のシステムだけでなく、クラウド上のサービスもある(図3)。これを使えば、高価なテレビ会議システムを導入しなくても、自宅や屋外でも擬似的にフェース・ツー・フェースのコミュニケーションを実現できる。

図3●クラウドで提供されるWeb会議サービス
図3●クラウドで提供されるWeb会議サービス
[画像のクリックで拡大表示]

報告書を共有して解決策を検索可能に

 もう1つの解決策である、解決策を検索できるようなシステムを構築して相談の発生する件数そのものを軽減するには、ヘルプデスクやサービスデスクの専用システムを使うとよい。しかし、これを運用するには専任の担当者が必要になるので導入のハードルは高い。

 これに代わる簡易な仕組みとして、部署ごとにFAQ(よくある質問とその回答)のWebページを立ち上げるケースがある。ただし、相談の対象となる問題は個別な案件が多いので、FAQではカバーできないこともある。

 実は導入のハードルが低く、大きな効果が期待できる方法もある。報告と連絡のコミュニケーションで発生した文書を社員間で共有し、検索できるような仕組みを作ることだ。例えば、営業日報のような業務報告書を蓄積し、キーワードで検索できるような仕組みである。

 相談の対象となる問題が、自分が経験したことのないようなケースでも、社内には同じ状況に遭遇した社員がいるかもしれない。若手社員であれば、そうしたケースが多いだろう。もし、その際の報告書を閲覧できれば解決策のヒントを得られる可能性が高い。

 このほか、「ノウフー(Know Who)」や「タレント・マネジメント」と呼ばれるシステムも、相談の生産性向上につながる。これは「社内の誰が何を知っているのか」「どこにどんな業務の経験者や専門家がいるのか」といった情報を組織的に管理するシステムである。こうしたシステムを利用すれば、自分が遭遇している問題の解決策をほぼ確実に知っている社員が把握できる。

新たな「ほう・れん・そう」には意識改革が必要

 ただし、ツールを導入したからといって、ITをベースとした「ほう・れん・そう」が自然発生的に活性化するわけではない。例えば、グループスケジュールで詳細な情報を入力していなければ業務の見える化につながらないし、営業日報をおざなりに記述していてはほかの人の参考にはならない。

 この課題を克服するためには、「ほう・れん・そう」に対する社員の意識改革が必要になる。従来の「ほう・れん・そう」は、管理職のための取り組みという色合いが強かった。しかし、ワークスタイル変革後の「ほう・れん・そう」は現場の生産性を高めるための取り組みである。グループウエアなどのコミュニケーション基盤に蓄積された情報が、組織的な知識となるのである。これを全員が意識することが大切だ。

 具体的には、コミュニケーション基盤が「自分の備忘録」であり、「組織の備忘録」だと位置付ける。例えば、スケジュールにしても、日々の営業活動にしても、自分の手帳には、備忘録として詳細な情報を書いているだろう。これをシステムに入力すればよい。

 すなわち、手帳代わりに備忘録としてグループウエアなどのコミュニケーション基盤を使うのである。社外からノートパソコンやスマートフォンから利用できるようになっていれば、さまざまな情報をワンストップで管理できるので、(文字入力さえ苦にならなければ)手帳を使うよりも便利なはずだ。