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(2)会社が行うべき本人確認とは

 連載第2回で見たように、本人確認には「実在確認」と「番号確認」の2種類がある。「実在確認」とは別人がなりすましていないことの確認であり、「番号確認」とはマイナンバーが正しいことの確認である。ただしこれは、会社が直接本人からマイナンバーを受け取る場合の本人確認方法である。

 会社が本人から直接マイナンバーを受け取らずに、「代理人」からマイナンバーを取得する場合は、「代理人からマイナンバーを取得するための本人確認」が必要になる(表1)。「代理人からマイナンバーを取得するための本人確認」では、(A)正当な代理人であること、(B)代理人の実在確認、(C)本人の番号確認が必要である(マイナンバー法施行令12条2項)。

表1●本人確認の種類
表1●本人確認の種類
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 「代理人」というと、国民年金第3号被保険者の手続きをイメージする人が多いだろうが、それだけではない。例えば、講演会のために外部講師を依頼した時に、外部講師のマイナンバーを、間に入っているマネジメント会社から受領する場合は、契約形態にもよるが、多くの場合、代理人からマイナンバーの提供を受ける形になる(図2)。

図2●代理人の例
図2●代理人の例
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 なお、雇用保険の雇用継続給付では、2016年当初のマイナンバー制度の運用開始時は、会社が代理人として手続きをすると解されたが、そうすると会社の事務負担が増してしまう。そこで、省令が改正された。省令の改正前は、労使協定に基づいて会社が同手続きを行う場合には会社は代理人となる。しかし、省令が改正・施行された2016年2月16日以降は、会社は法令に基づき個人番号関係事務実施者として社員の本人確認を行いマイナンバーを取り扱うことになり、代理人ではなくなった(厚生労働省平成28年2月8日版「雇用保険業務等における社会保障・税番号制度への対応に係るQ&A」追加Q4等参照)。

 今回は、社員の扶養家族のマイナンバーの取り扱いがテーマなので、以降は社員が扶養家族のマイナンバーを会社に伝える場合を例にして解説する。

(3)正当な代理人であることの確認

 1つ目の本人確認事項である(A)正当な代理人であることを確認するためには、委任状を用いる(マイナンバー法施行規則6条1項2号)。委任状というと堅苦しい印象を持つかもしれないが、マイナンバー制度の前から、例えば戸籍や住民票の写しを誰かに取ってきてもらうためには、委任状が必要だった。マイナンバーに関しても、それらの委任状と同様に考えればよい。例えば、国民年金の手続きであれば、番号花子さんが、マイナンバーの提供や国民年金手続き等を自分の夫である番号太郎さんに頼むことを示す書類が委任状である。

 会社は家族本人から直接ではなく、本人以外の者である社員からマイナンバーを取得することになる。その際、その者が、本当に本人から依頼を受けているかどうかを確認しなければならない。これが(A)正当な代理人であることの確認である。委任状を見れば、家族本人が社員に依頼していることがわかる。

(4)代理人の実在確認

 2つ目の本人確認事項である(B)代理人の実在確認には、運転免許証などの身分証明書を用いる(マイナンバー法施行規則7条1項1号、1条1項1号)。これは、本人から直接マイナンバーを受け取る際に求められる「本人の実在確認」と同様である。

 (A)正当な代理人であることの確認によって、番号太郎さんは、番号花子さんのマイナンバーを会社に提供する委任を受けた、正当な代理人であることが確認できたが、目の前の人物が本当に番号太郎さんかどうかはわからない。落とした委任状を盗んだ人物かもしれない。そこで正当な代理人である番号太郎さん自身であることを、ここで確認する。

 もっとも、採用時に本人確認済みの社員が代理人である場合は、会社が目の前にいる番号太郎さんを別人と間違えることは考えにくいので、代理人の実在確認は省略することができる(マイナンバー法施行規則9条4項)。

■修正履歴
本ページの図2の上にあった雇用保険の雇用継続給付に関する文を、2016年2月施行の省令改正に合わせて修正し、図2の下に記載しました。