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■目次

・[スクープ]ドコモのMVNO向け即日MNP機能が判明、「半黒SIM」と「OTA」方式の2種類
・[News&Trend]光コラボの4~6月期の純増数は約105万件、9割弱が「転用」
・[News&Trend]KDDIの「au WALLET Market」、在庫リスク減らすため消化仕入れ利用
・[キーパーソンの一言]「動画配信はネットフリックス中心で売りたい」SB宮内社長
・[Inside]MVNO間の競争激化でドコモの解約率に異変、MVNOは“共食い”の様相
・[視点]電力データ開放を巡るチャンスと課題、突破口として期待される通信事業者

[スクープ]ドコモのMVNO向け即日MNP機能が判明、「半黒SIM」と「OTA」方式の2種類

 NTTドコモ網を使うMVNO(仮想移動体通信事業者)が、これまで実店舗以外では対応できなかった即日MNP(モバイル番号ポータビリティー)対応を続々と進めている。

 例えば、ケイ・オプティコムが9月1日に開始するNTTドコモの回線を使ったプランでは、実店舗以外での即日MNPに対応する。フリービットもMVNEとして「MNPリモートアクティベーション機能」という名称でMVNO向けに仕組みを提供。U-NEXTがこの仕組みで9月から新規契約者向けにサービスを提供する計画を表明している。ビッグローブも同様の機能をスタートする予定だ。

 NTTドコモは「MVNO向け機能は守秘義務があり非公表」としており、具体的な実現方法は明らかにしていない。今回、本誌の取材により、その詳しい内容が判明した。「半黒SIM」と呼ぶ、あらかじめ電話番号や契約の基本情報を書き込んだ非開通のSIMを使う方式と、無線で契約情報を一通り書き込める「OTA(On The Air)」方式の2種類だ。いずれもNTTドコモが提供する顧客情報管理システム「ALADIN」端末で、MVNO向けに一部機能を新たに開放したことで実現した。

 まず「半黒SIM」方式を使った即日MNPは、ネット通販などの販路でSIMを新規契約者宅に郵送する場合を想定している。契約者がSIMの到着後に自らコールセンターに電話するかWebサイトで開通手続きを済ませることで、1時間程度でMNPの乗り換えが完了する。こちらの「半黒SIM」方式は、前述のケイ・オプティコムやフリービット、ビッグローブが利用している。

 具体的には、次のような手順を踏む。まずMNPを希望する新規契約者は、契約中の携帯電話会社からMNP予約番号を取得。続いて、ネット通販でSIMを購入する際に、契約者情報や引き継がせる携帯電話番号、MNP予約番号などを契約申し込みフォームに入力する。

 加入申し込みを受けたMVNOは、NTTドコモから供給を受けたSIMとALADIN端末の機能を使って「半黒SIM」を作成する。SIMに加入者情報や携帯電話番号を書き込むが、回線は非開通状態のSIMである。MNP予約番号は、ALADIN端末で半黒SIMを作成する際に必要だという。

 MVNOは作成した半黒SIMを契約者宅に郵送する。契約者がSIM到着後に電話かWebでMNPと利用開始の手続きを取ると、MVNOの作業担当者がALADIN端末を操作してSIMをアクティベート、つまり「黒SIM」化する。ALADIN端末からNTTドコモ網の無線を通じてSIMに開通情報が書き込まれることでアクティベートが完了する。

 もう一方の「OTA」方式は、電話番号などが書き込まれていない「白SIM」に対し、無線で契約情報を一通り書き込む方式である。こちらはALADIN端末を設置していない店舗でも即日MNPを実現するために、インターネットイニシアティブ(IIJ)が7月から採用している。

 NTTドコモ系のMVNOはこれまで、「ALADIN」端末を配備した実店舗でなければMNPの即日乗り換えができなかった。SIMを郵送する場合は、番号や契約者情報を書き込んでアクティベートしてから梱包していたので、2~3日の不通期間が生じていた。

[News&Trend]光コラボの4~6月期の純増数は約105万件、9割弱が「転用」

 NTT東西の2015年4~6月期決算によると、光コラボレーションモデルの純増数はNTT東日本が76万4000件、NTT西日本が28万8000件の計105万1000件であることが分かった。このうち、新規は11万4000件で既存契約者による転用(乗り換え)が9割弱を占めていることになる。NTT西日本の純増数はNTT東日本に比べて大幅に少ないが、「フレッツ光」向けの割引キャンペーン「どーんと割」を4月末まで展開していたことに加え、西日本地域では電力系通信事業者との料金競争が激しく、卸先事業者が割安感を打ち出しにくいことが影響しているとみられる。

 光コラボを活用するNTTドコモ(ドコモ光)の純増数は30万件強だった。「4月と5月は開通手続きなどでトラブルがあったが、6月からアクセルを踏んで攻め込んでいる」(同社幹部)という。テレマーケティングの強化を含め、2015年度は費用先行で赤字を見込むが、2016年度には単年度黒字化を目指す。

 ソフトバンク(SoftBank 光)は22万2000件の純増と公表しているが、同数値にはWireless City Planning(WCP)の回線を固定通信用途に活用した「SoftBank Air」の契約数が含まれる。やはりソフトバンクも開通手続きなどを巡ってトラブルが生じ、一時的に受け付けを止めた経緯があり、想定を大幅に下回った。光回線は顧客の囲い込みを強化できるだけでなく、家庭の通信インフラを押さえなければIoT(Internet of Things)の展開につながらないとして販促の強化を急いでいる。両社とも本格展開はこれからと言える。

[News&Trend]KDDIの「au WALLET Market」、在庫リスク減らすため消化仕入れ利用

 KDDIが8月25日から開始した、auショップを使った物販サービス「au WALLET Market」にて、ショップで扱うほとんど商品を「消化仕入れ」で取引していることが分かった。

 消化仕入れとは、ショップで扱う商品の所有権を、商品を供給するパートナー企業側に残しておく取引形態のこと。KDDI側では商品を在庫せず、注文が入った段階で商品の供給先パートナー企業に発注し、仕入れ代金を支払う。物流自体も、商品供給先のパートナー側の物流網を利用するという。

 消化仕入れは、百貨店など、扱う品目が多い店舗で利用されることが多い。買い取り型の仕入れと比べてショップ側に在庫リスクが発生しない一方で、買い取り仕入れよりも利益率が低いと言われる。同社は「開始当初は在庫リスクもあるため、消化仕入れの取引を選択した。今後軌道に乗った場合、取引形態を変える可能性もある」とする。

 プロジェクトを推進するKDDIコンシューママーケティング本部の村元伸弥コンシューマビジネス開発部長は「販売する側のメリットも考えて、商品を供給するパートナー企業と条件交渉してきた」と説明。単価が高い商品であれば、KDDI、auショップ、商品を供給するパートナー企業が、それなりの収益を得られるという。「例えばウォーターサーバーなどの定期購買商品をショップが販売した場合、ショップ側には通信サービスに近い手数料収入が入っていく」(同)。

 au WALLET Marketはショップに訪れた来店者が、タブレット端末経由で購入したい商品を選ぶサービス。開始当初は400弱の商品をそろえており、産地直送の野菜や果物など、比較的単価が高い商品が並んでいる。au直営店4店舗でスタートし、9月1日から店舗を108店に拡大。2015年内に全国のauショップで取り扱いを開始する予定だ。

[キーパーソンの一言]「動画はネットフリックス中心で売りたい」SB宮内社長

 「私としては動画はネットフリックス中心で売りたい」――。8月24日に開催した、動画配信世界最大手の米ネットフリックスとの提携会見に登壇したソフトバンクの宮内謙社長は、このように語った。

 同日発表したネットフリックスとソフトバンクの提携内容は、ソフトバンクショップや量販店などでネットフリックスの契約を受け付けし、ソフトバンクの携帯電話の通信料と一緒にネットフリックスの支払いができるというもの。「店頭や量販店でネットフリックスの申し込みから加入まで対応できるのはソフトバンクの独占。量販店でテレビを購入するユーザーなどにもネットフリックスを勧めていきたい」(宮内社長)とした。

 冒頭の「ネットフリックス中心で売りたい」という宮内社長の発言は、同社は既にエイベックス・エンタテインメントと組んでスマホ向け動画配信サービス「UULA」を提供していることについて。宮内社長は「これからもUULAは継続していく」としつつも、「UULAは音楽を中心とした映像配信サービスであり、オリジナルドラマや映画を中心としたネットフリックスとは根本的に違う」と説明。エイベックスと関係を維持しつつも、ネットフリックス中心に売りたいという考えを見せた。

 iPhoneを携帯大手3社が扱うようになり、各社はサービスの差別化に苦労している。ソフトバンクは、世界50カ国で6500万人以上が利用する動画配信最大手のネットフリックスと“独占提携”することで、店頭のプロモーション面でも差別化していく考え。ネットフリックスのような動画配信サービスは、FTTHサービス「ソフトバンク光」の普及を後押しするほか、昨今、同社が力を入れている「家族」をキーワードとしたプロモーション、サービス作りにも効果があるとする。

[Inside]MVNO間の競争激化でドコモの解約率に異変、MVNOは“共食い”の様相

 NTTドコモは2015年4~6月期から解約率の開示基準を変え、MVNO分を除いた数値を公表するようにした。MVNO間の顧客争奪戦が激しく、NTTドコモの解約率が悪化しているように見えてしまうためだ。競争促進の観点では、MVNOが大手携帯電話事業者から顧客を奪う展開が理想だが、“共食い”の様相も色濃くなってきた。

 NTTドコモの2015年4~6月期の解約率は旧基準で前年同期比0.12ポイント増の0.79%。大幅に悪化したように映るが、新基準を適用すると、前年同期比0.01ポイント減の0.59%になる。実際には改善しており、新料金プランや光回線サービスとのセット割などによる囲い込み効果が高まっているという。

 旧基準と新基準の違いは、MVNO分の有無。MVNOの多くはNTTドコモの回線を借りてサービスを展開しており、MVNOの契約分はNTTドコモに計上される。新基準では、NTTドコモからMVNOに乗り換えた分は反映したが、MVNOからMVNOに乗り換えた分を除外したという。MVNO分の有無で解約率の差が広がってきたことから開示基準を見直した。つまり、MVNO間の乗り換えが激しくなってきたことを意味する。

 旧基準と新基準の解約率の差は0.2%。NTTドコモの2015年6月末時点の契約数から計算すると、約13万5000件に相当する。MVNO全体の契約数(2015年3月時点で952万件)から見れば規模は小さいが、BWA(広帯域移動通信システム、同166万件)やPHS、通信モジュール(3万件以上の契約数を保有するMVNOを対象としたアンケート調査では全体の35%を占める)などを除いていくと、無視できない規模と言えそうだ。

 もっとも、最近では最低利用期間や違約金の“縛り”がないことを売りにしたMVNOが増えてきた。乗り換えが激しくなるのは当然だが、さらにエスカレートしつつある。2015年9月にはケイ・オプティコムが「史上最大のキャンペーン」で大攻勢に出る。NTTドコモの回線を活用したサービスでは先行予約で最大9カ月、KDDIの回線を活用したサービスでは端末購入を条件に最大2年半、月額基本料相当(800円)をそれぞれ割り引くキャンペーンを始めた。「実質、無料」(ユニバーサルサービス料などを除く)で長期間使えるため、ユーザーへのインパクトは大きいとみられ、一気に勢力を拡大しそうだ。

 この動きに困惑するのはMVNOの競合他社である。同キャンペーンで打撃を受けるのは「携帯電話事業者ではなく、明らかに既存MVNO。ただでさえ薄利なビジネスにもかかわらず、キャンペーンやインセンティブ(販売奨励金)による顧客争奪戦の側面が強くなっており、望ましくない傾向にある」(大手MVNO)といった苦言が出ている。

 一方、MVNO自体の存在感は着実に高まりつつある。KDDIとソフトバンクの2015年4〜6月期の解約率を見ると、両社とも悪化した。KDDIは前年同期比0.18ポイント増の0.72%(パーソナルセグメント)、ソフトバンクは同0.05ポイント増の1.24%(主要回線が対象、旧ソフトバンクモバイルと旧ワイモバイルの間の乗り換えを除く)だった。「新料金プランによる囲い込みの強化でNTTドコモの解約率が低下しているのは間違いないが、大手3社でMVNOへの流出が目立ってきた」(業界関係者)。

 市場の拡大が先か、プレーヤーの淘汰が先か。MVNO市場のさらなる拡大には、“体力勝負”に陥らないための工夫が不可欠だ。

[視点]電力データ開放を巡るチャンスと課題、突破口として期待される通信事業者

 「鶏が先か、卵が先か」――。2016年4月の電力小売り全面自由化を控え、電力市場でビジネスチャンスをつかもうとする通信関連の関係者の間で、上記のような言葉が頻繁に交わされている。よく言われる電力と通信のセット販売の話ではない。電力小売りの全面自由化と歩調を合わせるように開放される、家庭内の電力データを巡っての話だ。

 各地域電力会社は、2014年ころから通信機能を持った次世代電力量計「スマートメーター」の本格展開を始めている。2024年までに全国約7750万台もの電力量計がスマートメーターに切り替わる予定だ。スマートメーターは単に電力会社の検針作業を効率化するだけではない。希望したユーザー宅では、電力データを第三者が活用できるような経路も定義されている(Bルートと呼ばれる)。

 これらの電力データを活用すれば、「家庭内の電力消費量の詳細はもちろん、家族がいつ起きたのか、いつ寝たのか、どの時間帯に留守にしたのかまで、正確に分かるようになる」(通信関連関係者)。このようなデータの活用こそ新たな付加価値を生み出せる可能性があるとし、NTTグループやKDDI、ソフトバンク、インターネットイニシアティブ(IIJ)などの通信関連のプレーヤーがこぞって力を入れ始めている。

 とはいえ、まだまだ乗り越えなければならない壁は数多い。まず現状では、Bルートの知名度が一般にはほとんどないこと。Bルートの開放は、この7月から東京電力や関西電力、中部電力が本格的に開始したところだが、関西電力によると申し込みは「まだ数十件程度」という。

 Bルートを使った電力データの取得には、ユーザー宅内にHEMSコントローラーという機器を設置する必要がある点も課題だ。現状、家電メーカーが販売するHEMSコントローラーは価格が数万円台と高価。しかもHEMSコントローラーによって可能になるサービスも電力の“見える化”程度であり、「ほとんど変化がないので3日で飽きてしまう」(関係者)という声が多い。

 鶏と卵の話は、「Bルートを開放するユーザーが増えれば、電力データを使った多彩なサービスが生み出されるのか」、逆に「電力データを使った多彩なサービスが登場すれば、Bルートの普及が進むのか」という例に他ならない。

 通信関連の関係者によると「(Bルートを推進する)経済産業省が、このような状況を打開するプレーヤーとして最も期待しているのが通信事業者」という。通信事業者がサービス展開するホームゲートウエイ(HGW)やセットトップボックス(STB)はHEMSコントローラー化することが可能。安価にHEMSコントローラーを普及できるポテンシャルを持っているのが通信事業者だからだ。また電力データという、ある意味センシティブなデータを安心して任せられる存在としても通信事業者への期待は大きい。

 通信事業者自身も、その価値や役割に気づいている。例えばNTT東西は既存のHGWやSTBをHEMSコントローラー化するBtoBtoC向けソリューションを用意している。

 携帯各社は電力小売り全面自由化に伴って、電力と通信のバンドルサービスを提供予定。その際に、既存のSTBやHGWをHEMSコントローラー化するサービスも合わせて提供すれば、今後の電力データ活用に向けた足場を作れる。ただユーザーが利便性を感じる電力データを使ったサービスが登場するにはまだ時間がかかるだろう。将来の可能性にどれだけ先行投資できるのか。各社の決断が迫られる。

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記事執筆・編集は、テレコムインサイド取材班=堀越 功/玄 忠雄/榊原 康/加藤 雅浩
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