PR

■目次

・[News&Trend]携帯引き下げの真意は「選択肢を増やす」、総務省幹部が初めて説明
・[News&Trend]NetflixがISPのスピード指標を公表、ソフトバンクは16社中の12位
・[Inside]MVNO参入でVOD無料を仕掛けたJ:COM、実現の裏にピーク時間帯の差
・[キーパーソンの一言]「農業IoT、使命は回線増より新アプリ創造」ソフトバンク系
・[キーパーソンの一言]「日本はインダストリー4.0に負けていない」、NTTコム庄司社長
・[MVNOに聞く]カメラのキタムラ、「MVNO事業でもうかるとは思っていない」
・[視点]携帯引き下げで浮上する“負担感”、事業者に問われるビジネスモデル転換

[News&Trend]携帯引き下げの真意は「選択肢を増やす」、総務省幹部が初めて説明

 「携帯電話料金について議論する狙いは、国民が自分の使い方にあった料金メニューを選べるように選択肢をもっと増やすことにある。事業者に一律の値下げを求めることはない」――。

 総務省総合通信基盤局の電気通信事業部長に今年8月に就任した大橋秀行氏が本誌の単独インタビューに応じ、同部の下で携帯電話料金の「負担感」を軽減する方策を検討するタスクフォース(特別作業班)を立ち上げる真意を説明した。安倍晋三首相が2015年9月に総務相に検討を指示してから、事務方の責任者がこの問題を詳しく説明するのは初めてだ。

 大橋部長は、安倍首相から唐突ともいえる指示を受けたことについて「首相から(情報通信の個別政策について)指示を受けること自体が希なので驚きはあったが、内容自体はかねてから(総務省が)問題意識をもっていたもの。違和感は全くなかった」と説明する。

 遠くない時期に総務省が取り組むべき課題だと考えていたといい「総務省が進めてきた消費者保護政策を素通りした“頭ごなし”の指示か」という一部の観測を否定した。「同じような問題意識を持った首相から「年内に結論を出す」という宿題を頂いたことは、もっとスピードアップせよという指示と受け止めた」(大橋部長)。

 大橋部長は、国際比較で日本の携帯料金が高いかどうかが識者やマスコミ報道などで議論になっていることに対し、「日本の事業者が(料金低廉化やサービス充実に対する)努力を怠っているわけではない」として、論点が別にあるとした。首相が指摘した「家計への負担感」とは、「家計負担を気にして通信料金を節約したい消費者でも、ヘビーユーザー向けの料金体系しか選べないことが問題にされている」という。具体的には「端末を2年ごとに買い替えず長く使おうとする人や、データ容量をあまり消費しない人などに向けた料金メニューが用意されていない」ことを挙げた。

 首相の指示に対して、携帯電話事業者からは「料金を値下げすれば設備投資の余力が奪われる」という主張も出てきている。大橋部長にこれらの主張に対する見解を求めると、「我々は設備投資を減らして値下げすべきとは全く求めてはいない。料金は設備投資に見合った妥当な水準であるべきで、問題にしているのは料金の多様性だ」と一蹴した。

 総務省は10月19日に、この問題を議論する「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」の初回会合を開く。開催を発表した際の高市早苗総務相の説明に加え、大橋部長が真意を語ったことで、議論の焦点は料金の水準自体よりも、「利用頻度が少ない利用者に向けた料金を、どこまで充実させるか」に置かれることが明確になった。

[News&Trend]NetflixがISPのスピード指標を公表、ソフトバンクは16社中の12位

 米Netflixが公表した日本のインターネット接続プロバイダーのスピードランキングによると、9月の1位は「UCOM」(提供元はアルテリア・ネットワークス)で3.99Mビット/秒だった。2位は「eo光」(同ケイ・オプティコム)で3.88Mビット/秒、3位は「So-net」(同ソネット)で3.85Mビット/秒、4位は「ASAHIネット」(同朝日ネット)と「InfoSphere」(同NTTPCコミュニケーションズ)で3.81Mビット/秒。なお、Netflixと業務提携したソフトバンクは16社中の12位(3.54Mビット/秒)となっている。

 Netflixが今回、公表したのは「ISP Speed Index」と呼ぶもの。ゴールデンタイムにおけるユーザーの視聴の平均ビットレートを測定し、ISPごとの順位を同社サイト(http://ispspeedindex.netflix.com/country/japan/)で確認できるようにしてある。ユーザーは映像を快適に視聴できるISPを把握できるだけでなく、帯域制御の有無を含め、より良いネット環境の提供をISP同士で競わせる狙いがある。Netflixは9月2日に同名の映像配信サービスを日本で始め、ランキングの公表は今回が初めて。計測結果は毎月公表し、順位の変動が分かるようになっている。

[Inside]MVNO参入でVOD無料を仕掛けたJ:COM、実現の裏にピーク時間帯の差

 かねてからMVNO事業に参入する構想を示していたケーブルテレビ事業者最大手のジュピターテレコム(J:COM)は10月13日、正式にMVNOサービス「J:COM MOBILE」を発表した。J:COM MOBILEのスマホセット版、タブレット版は、親会社であるKDDIのLTEネットワークを利用したJ:COM独自のMVNOサービスである。日本ケーブルテレビ連盟が推進するケーブルテレビ事業者共通のMVNOプラットフォーム「ケーブルスマホ」を利用した、SIM単体版も販売するが、本腰を入れるのはKDDIの回線を利用したスマホセット版、タブレット版である。

 最大の特徴は、J:COM MOBILEのスマホセット版、タブレット版において、同社が提供するVOD(Video On Demand)サービス「J:COMオンデマンド」をパケット利用料無料で視聴できるようにした点だ。「我々はケーブルテレビ事業を伸ばしたい。MNOにはできないことを進める必要があり、端末とサービスをセットで新たな価値を提案した」と同社の牧俊夫社長は語る。

 ここに来てMVNO各社は、差別化のために特定のアプリケーションを無制限利用とするサービスを投入する例が増えている。ただ動画サービスについてはトラフィック量が大きいため、これまで使い放題サービスは登場していなかった。

 実際、毎日1時間、HVGAW(Half VGA Wide、640×360ドット)の解像度で1.3Mビット/秒のビットレートの動画を観た場合、1カ月当たり約18Gバイトのパケット量になるという。J:COM MOBILEのスマホセット版では、このようなJ:COMオンデマンドのデータ通信を課金しないほか、Webやメールの利用向けに3Gバイトのパケットデータ量をつけて月額基本料2980円と料金を抑えた。

 MVNO事業としては大きなリスクがある上記サービスについて、同社商品企画本部の中馬和彦副本部長は「様々な計算をして十分ペイできると算段した」と打ち明ける。中馬副本部長は「動画視聴のピーク時間帯とモバイル利用のピーク時間帯にはズレがある。また家庭内でのWi-Fiのオフロード率も正確に把握できている」とする。このようなデータの挙動からMVNO事業として、動画使い放題のインパクトを抑えられると踏んだ。中馬氏はKDDIでau携帯電話のプラットフォームである「KCP」やクラウドサービスに携わった後にJ:COMに出向。今回のサービスを仕掛けた。

 もっともMVNOサービス投入まで1年近い時間がかかった理由は、親会社のKDDIとの調整が大きかったようだ。J:COMとKDDIは、auスマートバリューによって強固な関係を築いている。「KDDIのauスマホと顧客を奪い合わない層を開拓する必要があった」と牧社長は打ち明ける。J:COMのサービス加入世帯は全国で509万世帯。その約4割がauスマートバリューの加入世帯という。J:COM MOBILEでは、これまでのauスマートバリューではスマホに移行しなかったような50~70代のユーザーにターゲットを絞り、料金をさらに下げ、端末とサービスを一体化することでスマホへの移行を促す考えだ。

 今回J:COM MOBILEのスマホセット版向けに、韓国LGエレクトロニクス製のフィーチャーフォン型スマホ「LG Wine Smart」を独占調達した。「MVNOとしては強気の端末調達をした」(中馬副本部長)といい、数十万台の台数をコミットしたもよう。来年1月11日までJ:COMサービスとの同時加入で端末代金を実質無料とするキャンペーンを展開するなど、顧客層の急拡大を狙う。

[キーパーソンの一言]「日本はインダストリー4.0に負けていない」、NTTコム庄司社長

 「当社のIoTプラットフォームサービスの強みは、一気通貫のトータルパッケージとしてサービス提供できる点」――。NTTコミュニケーションズ(NTTコム)の庄司哲也社長は10月8日に開催した同社のプライベートイベント「NTT Communications Forum 2015」にて、来春から本格的に提供開始するIoTプラットフォームサービスについてこのように述べた。

 同社のIoTプラットフォームサービスは、SIMを搭載したデバイスからデータ収集し、WANサービスからクラウド、分析プラットフォームまでワンストップで提供する。世界188カ国で利用できるほか、インターネットを経由しないセキュアな通信を確保できる点が特徴だ。

 工場設備向け、各種製品向け、車両向けの3分野でIoTシステムをトライアルできるパッケージを10月以降、順次提供していく。「現在、様々な分野のエキスパートやリーティングカンパニーと組んでパッケージの中身を詰めている。それぞれの企業がテストベッド的な環境を提供できるようなアライアンスも組んでいる」(庄司社長)。

 例えば車両向けの分野では、既に複数の自動車メーカーと取り組みを進めており、来春までに社名も公表できる見込みという。「自動車業界では、一つのクルマを生産するために各種部品などに200万もの設計図面データが必要。部品の精度を上げていくために、複数のメーカーで共通のプラットフォームを用いて、データを共通で蓄積するトライアルも実施している」(庄司社長)。

 庄司社長は「ドイツのインダストリー4.0が話題になっているが、日本企業は既に個々の取り組みを進めている。ただしネットワーク上の分析プラットフォームとセキュアにつなげていないなど、インテグレートされていないだけ。このようなソリューションを提供すれば、インダストリー4.0に負けないものができる」と続ける。今後のIoTプラットフォームによる売上げ目標などについては、まだ試算がないとして明らかにしなかった。

[キーパーソンの一言]「農業IoT、使命は回線増より新アプリ創造」ソフトバンク系

 「今回のIoT(Internet of Things)で、(親会社の稼ぎ口になる)携帯電話のトラフィックや回線数は大して増えない。我々の使命は通信の用途となるサービスを作ることにある」――。ソフトバンクグループが全額出資するPSソリューションズ農業IoT事業推進部の山口典男部長は、10月7日に発表した農業IoT事業の役割についてこう語る。

 同社が日立製作所と共同発表したのは、農作物を育成する田畑の環境情報を自動収集してクラウドで管理できる農業IoTサービス「e-kakashi(e-案山子)」だ。12月に本サービスを開始し、2016年度までに約500セットの販売を目指す。ただし通信事業としてみれば、1~2の田畑ごとに置く、案山子のようなセンサーデバイスとゲートウエイ装置の間は、サブ1GHz帯(920MHz帯)を使うIEEE 802.15.4を独自拡張した仕組みで通信する。ソフトバンクの携帯電話回線を使うのはクラウドとゲートウエイを結ぶ1回線だけ。携帯回線増としては、大きなインパクトはない。

 通信に紐付いたIoTのサービスをしっかりと立ち上げて、通信を補完する収益事業の芽を育んでいくことが自分の使命と語る山口部長。「NTTドコモやKDDIもIoTなどのアプリケーションへの投資を進めているが、農業IoTの分野でソフトバンクは最も前のめりになって(人や資金を)投じている」とも語り、この分野での主導権確保を狙う。

[MVNOに聞く]カメラのキタムラ、「MVNO事業でもうかるとは思っていない」

 2015年6月に格安SIM事業に参入したカメラのキタムラ。キタムラサイトへのアクセスや同社アプリの通信を課金の対象から外し、無制限としたことで業界の注目を集めた。新横浜本社でスマートフォンチーフバイヤーを務める水清田裕介氏に参入の経緯や狙いなどを聞いた。

――格安SIM事業に参入した経緯は。

 元々、一部の店舗で中古のスマートフォンを扱っており、その流れで大手MVNO(仮想移動体通信事業者)のSIMカードを再販していた。ただ、これでは他社と変わらないため、アイデアを出していくうちに「写真ホーダイSIM」に行き着いた。当社サイトへのアクセスを無制限にできるかどうかも分からない状況だったが、MVNE(Mobile Virtual Network Enabler)に相談したところ、できるということだったので参入を決めた。構想当時は特定のサイトやアプリの通信を無制限としたサービスがなく、間違いなく面白いサービスになる自信があった。その後、2~3カ月程度でサービスを開始できた。

――メニューは、データ通信量が1日当たり70Mバイトで月1600円(税込み)の1種類しかないが、どのように決めたのか。

 メインターゲットは、写真好きのカメラマンや高齢者層。あとは主婦層が写真のプリントを自宅で手軽に注文できるようにすることを想定した。スマートデバイスに詳しくない層が中心なのでセキュリティ対策機能(キングソフト製)を標準で同こん。LINEのニーズも高いため、SMS機能も標準で付けた。フィーチャーフォンを使い続けながら試してみたいというユーザーが多いと想定して音声通話を外し、最低利用期間や解約料も設定しなかった。かなりギリギリのラインで提供している。

――日単位ではなく、月単位のメニューは提供しないのか。

 検討はしている。ただ、当初は1日で2Gバイトや3Gバイトも使われると、パイプ(携帯電話事業者との接続容量)が一気に埋まってしまう恐れがあるため、日単位で制限を設けることにした。当時は他社でも1日当たり70Mバイトの制限が主流で、初めて体験する層が中心であれば十分に対応できると判断した。もっとも、現在では他社に見劣りする面があるので、遅くとも年内には容量アップを図りたい。

――取り扱い店舗の拡大計画は。

 2015年6月に10店舗で始め、2015年度中に50店舗に拡大する。2~3年後には携帯電話を取り扱っている全店舗(キャリアショップではない2次代理店、全国900店舗のうち約450店舗)に広げたい。

――契約数の目標は。

 現状は試験提供の位置付けのため、契約数は50件程度にとどまる。今後、50店舗に拡大していくに当たっては、年間で1万件程度を維持できるようにしたい。

――目標が低くないか。

 当社は携帯電話事業者の商品も扱っている。MVNO事業だけでもうけられるかというと、そうでもないと思っている。まずは1万件程度が目標になる。既存の契約では写真を送る際に容量制限を受けてしまう、あるいは利便性が低いといった部分を我々のSIMカードで解消できれば良いと考えている。

 当社は写真をなりわいとした企業になる。これまではデジタルカメラを販売して写真をプリントしてもらっていたが、最近ではスマートフォンによる撮影が主流となってきた。(代理店として)スマートフォンの販売を手掛ける狙いも、写真のプリントにつなげるため。キャリアショップでスマートフォンを購入しても写真の話は全く出てこないが、我々であればカメラの知識を生かして用途に応じた最適な機種を提案したり、写真を思い出として残すための方法をアドバイスしたりできる。スマートフォンを販売した際は最後に当社のアプリもインストールさせてもらっている。

 端末の修理も一部で手掛けるので分かるのだが、顧客が端末の故障時に真っ先に心配するのはアドレス帳と写真。それほど大事にもかかわらず、多くの人は写真の整理や保管、プリントについて詳しく知らない。大切な写真を思い出として残してもらうために様々なアプローチを取っており、写真ホーダイSIMの提供もこの一環になる。

――スマートフォンの搭載カメラは高解像度になってきたため、大量にアップロードされるとネットワークの負荷が重くならないか。

 同時多発的に注文が入ればそうかもしれないが、そこまで一気に来ることはない。これまでもインターネット経由でプリントの注文を受けてきたが、平均すると1回当たり20~30枚程度なので大きな影響はない。ストレージサービスに関しても、LTEで高速とはいえ、写真の大量アップロード/ダウンロードには時間がかかるため、自宅の固定回線や無線LAN環境での利用が中心になる。これまでの経験でトラフィックはある程度想定でき、当初からそれほど心配していなかった。

[視点]携帯引き下げで浮上する“負担感”、事業者に問われるビジネスモデル転換

 「スマホが社会的に普及し、生活に欠かせないものになっている。生活が苦しい人達もスマホを使わなければならない。このような人たちが競争の利益を十分に享受できているのか。これは我々自身が問われなければならない」――。総務省総合通信基盤局の大橋秀行電気通信事業部長は、安倍晋三首相が指示した携帯料金の引き下げ指示に関して、このように自ら問いかける。

 安倍首相の指示は、家計における国民の携帯料金の“負担感”に対する問題提起である。これまでの総務省の競争政策のベクトルは、先進ユーザーを鼓舞し、次の時代を切り開くようなサービスや利用形態を拡げていく方向だった。例えば定額制によるインターネット利用やモバイルブロードバンドなどは、リスクを取った事業者のサービスを、先進ユーザーが支える形で花開いた。

 しかしここに来てスマホは社会インフラ化しつつあり、「5年前のスマホにおけるデータ利用とは様変わりしている」(大橋部長)。先進ユーザーだけではなく一般的なユーザーが、競争政策による負担軽減の恩恵を受けるよう目を向ける必要が出てきた。「我々はこれまで、このような方向を考えてきたことがあまりなかった。従来の競争政策の軸に加えて、新たなベクトルを考える必要がある。これは総理からいただいた我々への宿題と考えている」(大橋部長)。

 一方で大橋部長は「行政が規制によって云々する以前に、携帯電話事業者自らも国民の“負担感”の声に自ら応えるべき」と続ける。通信サービスが社会インフラと化し、様々なサービスを支える基盤となりつつあっても、携帯大手3社は実質0円などの端末の割引競争に邁進している。「端末の実質割引の原資は誰かが負担している。それはユーザー以外にあり得ない。頻繁に乗り換えるユーザーに特別の恩恵を与えるのは事業として健全なのか。もう一度自ら考え直してもらいたい」と、大橋部長はいびつな端末競争の構造を問題視する。

 とはいえ携帯大手3社は、3すくみの競争の中で1社だけ新たな方向へなかなか舵をきれない。特に米アップルの「iPhone」については、携帯各社が販売台数をアップルにコミットしていると言われてきた。だからこそ総務省の出番だと思うが、この点についても大橋部長は「確かにそのような時代があったと思う。しかし本当に今でもそうなのか。代えがたいほど絶対的なのか。我々はSIMロック解除の義務化や2年縛りの見直しなど、事業環境を変えてきた。それでも自ら動けないのか。それならば改めて私たちに問いてほしい」とする。

 安倍首相が提起した国民の“負担感”に関しては、もう一つの大きな論点がある。スマホ上で新聞や映画など様々なサービスやコンテンツが享受できるようになり、オトク感を生み出している一方、ユーザーから見ると通信サービス自体が単なるコストと化している点だ。「本来、サービスプロバイダーがBtoBの形で負担すべき配送料などを、ユーザーが負担するという奇妙な構造になっている」(大橋部長)。だからこそ、通信サービスに対する負担感が大きいとユーザーが感じているわけだ。

 「今回のTFの議論ではないと思うが、サービスプロバイダーがBtoBの形で通信料金を負担する形にすれば負担感を少なくできる。そのためにMVNOという制度がある」と大橋部長は語る。上位レイヤーのサービスを持ったサービスプロバイダーが、MVNOとしてサービスと通信サービスをバンドルし、通信費用を0円のような形に見せれば、確かにユーザーの負担感を軽減できる。

 同じような構図は、今後IoTの世界が本格的に到来した時にも繰り返されるだろう。「当然、将来の産業構造の変化を見据えたビジネスモデルの変革を携帯電話事業者自らが考えてほしい」と大橋部長は続ける。

 「事業者自らが考えてほしい」という言葉を繰り返すのは、総務省が料金規制に対する手立てを失っている点はもちろん、その一方で「再び料金規制の世界に戻りたいのですか」という最後通告のようにも聞こえてくる。

 このように考えていくと安倍首相による問題提起は、IoT時代の到来を前にして、事業者が自らの役割やビジネスモデルを問い直すよい機会のように思える。19日から始まるTFの議論では、短期的な利害にとらわれずに、将来の礎になるような建設的な議論につながってほしい。

■編集部から

記事執筆・編集は、テレコムインサイド取材班=堀越 功/玄 忠雄/榊原 康/加藤 雅浩
Copyright(C) 2015、日経BP社 掲載記事の無断転載を禁じます。
〒108-8646 東京都港区白金1-17-3