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■目次

・[Inside]総務省がドコモとソフトバンクを行政指導、見えてきたガイドラインの“線引き”
・[News&Trend]IoTで国際プロジェクト、G7サミット情報通信大臣会合の議題が判明
・[MVNOに聞く]「携帯大手3社の実質0円販売の自粛でユーザーが流入」、楽天モバイル
・[今週のNews Pickup]auのほけん・ローン/ 携帯大手3社のパケット接続料など

[Inside]総務省がドコモとソフトバンクを行政指導、見えてきたガイドラインの線引き

 総務省は4月5日、4月1日に適用を始めた「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」に抵触したとして、NTTドコモとソフトバンクに行政指導した。総務省は携帯電話大手3社に対し、4月1日時点の端末購入補助の状況について報告を求めていた。

 NTTドコモの販売で問題視されたのは「家族まとめて割」。「シェアパックに加入」や「2台以上の購入」などの条件が付くが、家族まとめて割の適用により、機種によっては実質648円で保有できることになる。「端末価格の負担を数百円程度にすることはガイドラインの趣旨に沿わない」として是正を求めた。

 一方、ソフトバンクの販売で問題視されたのは「のりかえ割パワーアップキャンペーン」。MNPによる転入に対し、個人の場合は最大2万1168円、家族の場合は最大3万1968円を割り引く内容となっており、「数機種を除き、ほとんどの機種で実質0円を下回ることが確認できた」(総務省料金サービス課)。完全な「アウト」に相当するため、可及的速やかな是正に加え、書面による報告を求めた。

 今回、業界関係者が驚いたのは、ソフトバンクが実質0円を下回るキャンペーンを堂々と4月1日に始めたことだ。同社はガイドライン案のパブコメでも「端末購入補助の水準については競合他社の取り組み状況などにより、当社が実施できる措置に制約が生じる可能性がある点について理解いただきたい」と反論していたが、総務省に楯突いたアウトなキャンペーンをそのまま投入してきた。

 総務省はガイドライン案のパブコメを受け、事業者の乗り換えで発生するコスト(移行元での解除料や転出手数料、移行先での事務手数料)については、「相当額の補助の上乗せを行うことはあり得ると考えられる」という解釈を追記した。NTTドコモが機種変更の価格を下げて“守り”を固めているため、同解釈に基づけば、実質0円を下回っても許されると判断したのかもしれない。だが、ガイドライン全体の趣旨を踏まえれば明らかにアウトである。

 ソフトバンクは4月5日、プレスリリースで「速やかに端末購入補助の適正化を図っていく」としつつも、反論(文言は「従来の考え方」)を繰り返した。「相応の価格差を設けなければ競争が減殺されて消費者に不利益を生じさせる恐れが高い」「端末購入を条件としておらず、端末購入補助とは本質的に性質が異なる」といった主張だ。ただ、総務省は「後段で端末購入補助とは本質的に性質が異なると言っても、前段では(他社の)端末購入補助に見合った相応の価格差を設けるとしており、そもそも主張が矛盾している」として全く受け入れない姿勢である。

 いずれにせよ、今回の行政指導により、これまであいまいだったガイドラインの解釈が徐々に明確になってきた。実質0円を下回る端末販売はいかなる場合もアウト(販売代理店の独自の取り組みを除く)。実質数百円の端末販売も一部で見られるが、「型落ち端末の在庫処分」「通信方式の変更または周波数帯の移行」「廉価端末(3万円以下)」といった条件を満たす場合に限り、認められる。この点、ソフトバンクは「のりかえ割パワーアップキャンペーン」を中止するだけでは足りず、既存の「のりかえ割」だけでも実質数百円のケースが残るため、見直しを求められることになる。

 では、どこまでの割り引きであれば許されるのか。総務省は官製談合の誘発につながる恐れがあるため、明言していない。実はKDDI(au)も「auにのりかえ割」と「au家族でのりかえキャンペーン」で同様な割り引きを提供していたが、当初は「5月末」としていた提供期間を「3月末」で打ち切り、現在は1万〜数万円の水準を維持している。つまり、1万円以上は確実にセーフである。

 なお、NTTドコモの「家族まとめて割」は「シェアパック15以上」への加入が前提となり、「シェアパック10」の場合は割引額が減額される。総務省が今回、問題視しているのは前者で「実質数百円」の場合であり、後者の「実質数千円」は対象外である。ただ、「実質数千円」がセーフとは明言しておらず、「是正された内容を見て最終的に判断する」という回答にとどめた。NTTドコモやソフトバンクにとっては再度の行政指導を確実に阻止しなければならないため、実質1万円以上となるような見直しが濃厚と言えそうだ。

 一方、総務省は今回、機種変更向けの購入補助についても「他事業者のMNP向けの購入補助に影響を与えるため、速やかな適正化を図ること」を求めた。事業者の乗り換えに当たっては移行元での解除料や転出手数料、移行先での事務手数料などで計1万5000円程度かかる。これを踏まえると、機種変更向けとMNP向けで端末購入補助に最低でも1万5000円程度の差を設けることが目安となりそうだ。

 このほか、総務省は今回の端末購入補助に限らず、販売奨励金の状況についても4月5日付で大手3社に報告を求めた。提出期限は4月8日までの方向で調整しており、4月1日以降の複数日を対象に精査する考えである。

[News&Trend]IoTで国際プロジェクトも、G7サミット情報通信大臣会合の議題が判明

 5月の伊勢志摩サミット(第42回先進国首脳会議)に先だって、香川県高松市で4月末に開かれる、G7香川・高松情報通信大臣会合での主な議題が明らかになった。IoT(Internet of Things)やビッグデータを経済成長につなげる方策や、民間の自由な情報流通を保証する情報セキュリティ政策などの分野で、共同宣言をまとめる。IoT/ビッグデータの分野ではG7による国際プロジェクトも検討しており、実施が決まれば各国の政策や国際標準化活動などにも影響を与えそうだ。

 G7香川・高松情報通信大臣会合は、伊勢志摩サミット開催1カ月前の4月29~30日に開催される。高市早苗総務大臣が議長を務めるほか、日本からは総務省で国際分野を担当する阪本泰男総務審議官と山田真貴子情報通信国際戦略局長が参加する。

 G7やG8の会合で、情報通信大臣会合が開かれるのは約20年ぶり。総務省は「ICT分野で強いメッセージを世界に発信する好機」と捉えている。そのテーマとして「IoT/ビッグデータ」や「情報流通とセキュリティ」が選ばれた。

 IoT/ビッグデータでは、この分野の最新技術が新しい需要や雇用を創出し、社会課題の解決につなげられる認識を共有し、経済成長につなげる方策や政府の規制のあり方などを議論する。G7による国際プロジェクトも、IoT/ビッグデータ分野を有力候補としており、研究や実証実験などが共同で実施されるなら標準化活動にも一定の影響力を持ちそうだ。

 情報流通と情報セキュリティでは、民間がインターネットなどを用いて安全かつ自由に情報を流通させ、個人情報の保護が保証される情報セキュリティ政策などが議論される。今回のサミットに参加しない中国やロシアは政府による情報統制が厳しい。G7としては民主主義国家を代表して、情報発信の自由を保証し、個人情報を強力に保護するという立場を表明し、情報統制が厳しい国家との違いを鮮明にしたい狙いがあるという。

 ただし、これらの議題でどこまで踏み込んだ憲章や共同宣言が出せるのかは、まだ見えていない。IoTなどは、例えばドローンや自動運転、農業など、実用化に当たっては各国が持つ様々な分野の規制が絡む場合も多い。議論を深めると「互いの国の規制の問題点を指摘し合う場になりかねない」(関係者)。

 さらに悩ましいのが情報セキュリティや個人にひも付くデータ(プライベートデータ)に対する各国の姿勢だ。プライベートデータでは、フランスを筆頭に欧州各国が政府や企業に対して厳格な保護を課す傾向が強いのに対して、IT大手企業を抱える米国は企業による自由なデータ活用を容認する傾向がある。米国は、テロ捜査のための政府機関による個人情報の取得も認めているが、これを容認しない他国との隔たりも大きいという。

 政策面で踏み込んだ共同宣言を出し、実のある国際プロジェクトを展開できるかは、この隔たりをうまく埋められるかにかかっているようだ。

[MVNOに聞く]「携帯大手3社の実質0円販売の自粛でユーザーが流入」、楽天モバイル

 1月末に月額850円で通話が5分かけ放題となるオプションを追加した楽天のMVNOサービス「楽天モバイル」。競合となる他のMVNOから「楽天モバイルは勢いがある」と言及されるなど、MVNOが急拡大の兆しを見せ始めた春商戦の中でも、特に好調さをうかがわせる。楽天の大尾嘉宏人執行役員楽天モバイル事業長に、最新の販売状況などを聞いた。

――春商戦の手応えを教えてほしい。

 想定以上に伸びている。1月と2月の新規契約者を比較すると、2月は3割ほど伸びた。3月も同じ勢いが続いている。

 理由は二つあると考えている。一つは「5分かけ放題オプション」の効果だ。これまでMVNOの通話サービスは従量制で、ユーザーはどれだけ料金がかかるのか分からなかった。5分かけ放題オプションによって、850円を支払えば上限を気にせず、ユーザーが安心して利用できるようになった。5分かけ放題の料金も、携帯大手3社の同様のプランの半額だ。携帯大手3社と同じ条件での比較ができるようになった点でも効果があった。例えば携帯大手3社の5Gバイトプランとの組み合わせを比較すると、大手3社が合計で月額7000円。楽天モバイルは月額3000円で60%も安い。

 もう一つの理由は、携帯大手3社が2月に入って実質0円での端末販売を自粛した影響だ。これによってユーザーは初めて端末にお金がかかることを意識し始めた。ユーザーが様々な通信サービスを比較するようになり、MVNOの中でも最も端末ラインアップが豊富で、様々な価格帯を持つ楽天モバイルに、流れてきている。端末が豊富で通話料金も安く、しかも楽天というブランドも一般的に認知されていて安心感がある。このような効果を出せたのではないか。

 このようにユーザーのニーズを拾い上げていくと、どうしても携帯大手各社のサービスに近づいていく。楽天としての差別化は、内部のオペレーションコストなどを抑えて、ユーザーにどれだけ安く、品質の高いサービスを提供できるのかだろう。

――他のMVNOはキャンペーンなどで攻勢に出ている。販売への影響は。

 現場レベルでは他のMVNOのキャンペーンやサービスを見ているが、競合としては見ていない。同じミッションを掲げた同士だと思っている。我々が中心に捉えているのは、MVNO間の競争ではなく、エンドユーザーが求めるサービスを実現していくことだ。

――解約率は。

 想定したよりも低く推移している。音声通話SIMの場合、月によってバラツキがあるが、1%を切る月もある。

――販路の拡大は販売増に寄与しているのか。

 タッチポイントが拡大したことによる伸びは当然ある。ただ店舗を一気に増やしたのは昨年の10~11月で、1月、2月はそれほど店舗を増やしていない。サービス拡充や携帯大手各社の販売方法の変更の影響、短期間だがテレビCMを流した効果もあったと見ている。店舗はどんどん増えているが、それでもまだオンラインによる販売のほうが圧倒的に多い。

 タッチポイントが増えたことにより、ユーザー構成の変化は現れている。30~40代から20代などの若年齢層が増加していたり、家族での加入や1台目端末としての利用が増えるといった傾向だ。

――3月からローソンの一部の店舗で、SIMカードや端末を受け取れるようになった。

 格安スマホは確実によいサービスになってきたが、まだまだ“食わず嫌い”の人も多い。街の身近な存在であるローソンの店舗にスマホが置いてあり、オンラインで申し込むと店頭で受け取れるようになれば最後の一押しになる。

 ローソンとの取り組みは単独での回答ができないため詳細は話せない。しかし確実に次につながる手応えをお互い感じている。

[今週のNews Pickup]auのほけん・ローン/ 携帯大手3社のパケット接続料など

 各社の発表から注目ニュースをピックアップし、記者のコメント付きで紹介するコーナーです。今回は3月30日から4月5日までの注目ニュースを取り上げました。(編集部)

▼KDDIが「auのほけん・ローン」を開始、携帯電話とのセット割を提供(4月4日)
http://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2016/04/04/1721.html

 KDDI(au)は「auのほけん・ローン」を4月5日に始め、携帯電話とのセット割を提供すると発表した。「auの生命ほけん」とのセット契約の場合は月200円の割り引きを最大5年間、「auのローン」とのセット契約の場合は「au WALLETプリペイドカード」への月500円のキャッシュバックを最大5年間、それぞれ実施する。「auの生命ほけん」と「auの損害ほけん」については別途、WALLETポイント付与の契約特典も用意した。

 もっとも、銀行代理業や保険業務などの有資格者による対応が必要となるため、基本的にはネット完結型の獲得モデルを想定している。取り扱い店舗は当初、「au SHINJUKU」をはじめとしたKDDI直営店に限られ、「auフィナンシャルサポートセンター」での対応が中心となる。資格なしのスタッフでは案内の範囲も限られるため、「au WALLET」のような垂直立ち上げは見込めそうにない。スマートフォンの購入者向けにケガの保険をプレゼントするキャンペーンも実施しているが、顧客獲得は厳しいとみられ、次の一手に注目したい。

▼携帯大手3社の2015年度のパケット接続料、低減率は2割以下にとどまる(3月31日)
http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/disclosure/interconnection/
http://www.kddi.com/corporate/kddi/public/interconnection/
http://www.softbank.jp/corp/group/sbm/public/interconnection/

 携帯大手3社が3月31日に公表した2015年度適用のパケット接続料は以下の通り。NTTドコモはレイヤー2接続が前年度比16.9%減の月78万5509円、レイヤー3接続が同19.6%減の月82万3371円。KDDI(au)はレイヤー2接続が同17.0%減の月96万7983円、レイヤー3接続が同29.2%減の141万4426円である。ソフトバンクはレイヤー2接続が同13.7%減の116万6697円(レイヤー3接続は帯域幅課金のメニューを設定していない)。

 注目のレイヤー2接続の接続料に関しては、大手3社とも低減率が2割以下にとどまり、MVNOの期待を下回る結果となった。接続料は設備費用をトラフィック(総帯域幅)で除算して算出しており、分母に当たるトラフィックはスマートフォンの普及拡大で増加傾向にあるが、2014年度に比べて伸びが鈍化した。一部の事業者では設備費用も増加したため、低減率の押し下げ要因となった。

 大手3社のレイヤー2接続の接続料は、最安のNTTドコモを基準に比べると、KDDIが約1.2倍、ソフトバンクが約1.5倍。2014年度はKDDIが前年度比57.6%減、ソフトバンクが同61.5%減を提示したため、大手3社の格差が大幅に縮まったが、2015年度は再び拡大した。

▼ソフトバンクが北陸電力と協議を開始、通信と電気のセット販売で(3月30日)
http://www.softbank.jp/corp/group/sbm/news/press/2016/20160330_04

 ソフトバンクは3月30日、電気と通信を組み合わせた新サービスの提供に向け、北陸電力と協議を始めたと発表した。ソフトバンクは東京電力と提携済みのため、北陸電力管内における販売が対象である。北陸電力管内では、KDDI(au)が「auでんき」で割安な料金を打ち出して新規参入しており、北陸電力はソフトバンクと組むことで対抗する構えだ。

 4月1日の電力小売自由化により、通信を含めた顧客争奪戦が始まったが、auでんき、ソフトバンクでんきともに苦戦しているもよう。そもそも検針票を持参していなければ受け付けできないため、実質的に2回の来店が必要になる。最近では顧客本人が店頭から電力会社に電話をかけて顧客番号を問い合わせることにより、1回の来店で済むようにしたが、一連の手続きに時間がかかる。大幅な割り引きを受けられる顧客も限られるため、契約の獲得は容易ではないという。

■編集部から

記事執筆・編集は、テレコムインサイド取材班=堀越 功/玄 忠雄/榊原 康/加藤 雅浩
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