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■目次

・[Inside]mineoが直面した限界、実効10Mのプレミアムコースは200人限定で開始
・[Inside]IoT通信のSIGFOXが日本上陸、携帯電話大手3社のLPWA戦略に違い
・[MVNOに聞く]ビッグローブが打ち明ける動画・音楽視聴し放題実現の舞台裏
・[メーカーに聞く]アイ・オー・データがM2Mルーター、ドコモとKDDIの回線に対応
・[今週のNews Pickup]接続料の格差是正は期待外れ/携帯電話の国内出荷が1割減、など

[Inside]mineoが直面した限界、実効10Mのプレミアムコースは200人限定で開始

 ケイ・オプティコムが提供するMVNOサービス「mineo」で、有料でトライアル提供してきた優先通信オプションプラン「プレミアムコース」が12月始めにも本サービスに移行することが分かった。特定のユーザーだけが利用する専用の通信帯域を確保し、容量ではなく、実効通信速度でプレミアム料金を設定するという、国内MVNO初と言えるユニークなサービスだ。

 しかし、正式サービスの申し込みは200人に限定する方針という。200人限定はトライアル時と同じで、事実上、抽選で申し込み者を絞り込む必要がある小規模なスタートになる。その事情を探ると、モバイル通信サービスに「混雑時でも実効速度を確保する」という速度面のプレミアムを実現する難しさが浮かび上がる。

 ケイ・オプティコムがプレミアムコースのトライアルを開始したのは7月。「ピークとなるお昼休みの混雑時でも10Mビット/秒程度の実効速度が出るようにする」(モバイル事業戦略グループの上田晃穂グループマネージャー)ことをうたい、まずは無料で200人の応募者を募集しトライアルサービスを提供した。ユーザーの好評を受けて現在、10月から11月末終了の予定で、有料トライアルを実施しているところだ。

 有料トライアルの料金は通常の基本料金に月額800円(税別)を追加するオプション制とした。KDDIの携帯電話網を使う「Aプラン」とNTTドコモの網を使う「Dプラン」それぞれ100人、合計200人の申し込み枠を設けたところ、1400人程度の申し込みがあったという。有料トライアル段階でも抽選倍率は7倍程度に達した。

 このように体験者から好評で、需要が高いにもかかわらず大規模な展開が難しいのは、現在の加入者属性では、混雑する時間帯が分散されないという事情が影響している。ヘビーユーザーが多いプレミアムコースで最も混雑する時間帯は昼休み。通常のコースも同じ傾向である。つまり「可能な範囲でプレミアムコースと通常コースの間で帯域を融通し合う」という実効速度を高める工夫が、最も混雑する時間帯ではほぼ使えない。規模のメリットがほぼ働かないのだ。

 ケイ・オプティコムはプレミアムコースの提供に当たり、MNOとの相互接続点からインターネット網との接続点まで、プレミアムコース専用の帯域を仮想的に確保した。プレミアムコースの実効速度が高いのは、単純に帯域当たりの収容加入者数を通常コースよりも減らしているからだ。通常コースが混雑しても、“専用レーン”を持つプレミアムコースは収容人数が少ないため影響を受けない。

 さらにプレミアムコースでの利用帯域が上限に達して一般コースの帯域に余裕がある場合は、余裕がある分をプレミアムコースに融通するような帯域制御を行っている。ただしともに混雑している昼休み時間にはこの技術が使えず、効果を上げていないのが現状である。

 つまり、プレミアムコースを成立させるためには、収容加入者数に応じてMNOと契約する通信帯域を太くし、接続料の支払いを増やす必要がある。月額800円というプレミアムコースの料金は、ユーザーアンケートで過半数が「500円~1000円未満なら入ってもよい」と回答した結果などを基に判断したという。具体的な採算性は明かせないとするが、800円の値付けでは採算ラインには乗っていないようだ。

 ただ将来的には、速度面でのプレミアムサービスを拡大できる道筋はあるという。「昼に自宅にいる主婦やシニア層など、混雑時にモバイル回線を使わない傾向があるユーザーを増やすこと」(経営本部モバイル事業戦略グループ)だ。通常コースのユーザーのピーク時間帯が分散されるようになれば、通常コースとプレミアムコースとの間で帯域を融通できる機会が増え、次第に規模のメリットが増えるというわけだ。

[Inside]IoT通信のSIGFOXが日本上陸、携帯電話大手3社のLPWA戦略に違い

 LPWA(Low Power Wide Area)分野の代表的な事業者として知られる仏SIGFOX。そのSIGFOXがいよいよ2017年2月に日本に上陸する。京セラコミュニケーションシステム(KCCS)はSIGFOXのパートナーとして日本国内でネットワーク展開し、事業を開始することを発表した。東京23区から順次サービスを開始し、2017年3月には川崎市、横浜市、大阪市でサービス展開。2018年3月までに全国主要都市にエリアを広げる計画だ。

 SIGFOXのネットワークは、本国のフランス国外は「SIGFOX Network Operator(SNO)」と呼ばれるパートナーを経由して展開する。原則SNOは1国1社であり、KCCSはSIGFOXネットワークを展開する国内で唯一の事業者となる。KCCSによると、SIGFOXとの交渉は2015年3月から開始したという。業界内では今秋にはSIGFOXの日本上陸が噂されていたが、ネットワーク展開計画など契約の締結内容でKCCSは苦労したようだ。「もっと早く市場に参入したかったが、LPWAが盛り上がってきたタイミングにはなんとか間に合った」(KCCS関係者)と胸をなで下ろす。

 SIGFOXの特徴は、なんといってもその圧倒的なコストパフォーマンスだ。「最安値で年100円。中心価格帯としては1日50回以下の通信で数万台の契約で年1000円を切る価格帯を計画している」とKCCSの黒瀬善仁社長は語る。SIGFOXの通信技術は、通信速度はわずか100ビット/秒で上り通信のみで、1度に送信できるデータ量もわずか12バイトと限られた機能しかない。しかしセンサーデータの収集などのIoT分野では十分な機能を持つ。「センサーと3年間の通信費込みで3000円といった売り方もできる。通信の売り方が大きく変わる」(黒瀬社長)。

 SIGFOXのネットワークは、KCCS自身がサービス提供するのではなく、イネイブラーとして協業する他のプレーヤーにネットワークを卸していく形を取る。実際にサービス提供する事業者として有力なのはKDDIのほか、マイクロテクノロジー、オプテックスといったセンサー系ソリューションを提供する事業者という。

 KCCSはSIGFOXネットワークの国内展開に関して、既に40社との協業をアナウンスしている。上記のマイクロテクノロジーやオプテックスのほか、インターネットイニシアティブやケイ・オプティコム、丸紅無線通信といったMVNO系の事業者も名を連ねており、このような事業者からSIGFOXネットワークを活用したサービスが登場してくる可能性もある。

 SIGFOXが日本上陸したことで、2017年のIoT向け通信の国内市場は、先行するLoRaWAN、それを追うSIGFOX、そして2017年度に導入が進む見込みのNB-IoTと、3種類の通信技術による三つ巴の競争が進みそうだ。それぞれの技術は、競合する面もあるが、得意分野は微妙に異なり、用途によって使い分けられるシナリオも見える。

 例えばLoRaWANは、Wi-Fiのように誰もが自由に技術を活用できる点が特徴であり、現状は自営網による展開が大半。工場など特定のエリアのデータ収集だけならば、自営網としての展開ができるLoRaWANが向く。ソラコムやさくらインターネットといった新興プレーヤーのほか、ソフトバンクやNTT西日本といった既存の通信事業者もLoRaWANの活用を発表しており、幅広いプレーヤーによる展開が進みそうだ。

 SIGFOXは、KCCSがネットワークを面展開するサービスとなる。海外のSIGFOXネットワークともシームレスに接続できる点が特徴であり、海外を含めた広域のデータ収集に向く。ネットワーク展開する事業者こそKCCS一社だが、KDDIのほか、センサー系、MVNO系など、こちらも幅広い事業者によるサービス展開が予想できる。

 最後のNB-IoTは、既存の携帯電話事業者向けの技術だ。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯電話大手3社はいずれも、NB-IoTを早期導入したい考えを総務省の会合などで発言している。NB-IoTは、基地局のソフト更新によってNB-IoT対応となるため、一気にエリアを広げられる点が強みだ。ライセンスバンドを使うため信頼性や品質を重視するユーザーに向いている。ただ国内の制度整備が完了するのは2017年上期と見られ、携帯電話大手3社が本格展開を始めるのは2017年下期以降と見られる。

 携帯電話大手3社のLPWA分野の取り組みに眼を向けると、事業者ごとの戦略の違いも見えてきて興味深い。KDDIはSIGFOXとNB-IoT、ソフトバンクはLoRaWANとNB-IoTと、免許不要帯とライセンスバンドの双方の技術を活用する考えを見せる。それに対しNTTドコモは、子会社であるNTTドコモ・ベンチャーズを通してSIGFOXに出資していたにもかかわらず、国内のSIGFOXネットワークの展開はKDDI系のKCCSが担うことになった。免許不要帯を用いるLPWA技術の展開についてはアナウンスしておらず、NB-IoTやCat-M1など、ライセンスバンドを使った技術の導入を示すにとどまっている。

[MVNOに聞く]ビッグローブが打ち明ける動画・音楽視聴し放題実現の舞台裏

 ビッグローブは11月1日から、BIGLOBE SIMのユーザー対象のオプションサービスとして、特定の動画や音楽サービスの通信量をカウントしない「エンタメフリー・オプション」を開始した。 月間6Gバイト以上のデータ通信契約者を対象に、音声通話SIMは月額480円、データSIMは月額980円のオプション料金を支払うことで、YouTube、Google Play Music、Apple Music、AbemaTV(近日対応)の通信を課金から除外する。いわゆるゼロレーティングの中でも、動画を対象とするのは国内MVNOで初となる。サービスの企画意図や技術的な背景について、同社執行役員常務の中野雅昭氏に聞いた。

――エンタメフリー・オプションの企画意図を教えてほしい。

 今回のエンタメフリー・オプションは、一定のユーザーニーズに合わせてサービスを提供していく取り組みの第一弾となる。オプション料金をユーザーからいただき、その中で使い放題を実現する。一定のニーズを持ったユーザーがある程度のボリュームで集まれば、十分ビジネスとして成立すると考えて開始した。

――動画を含めて課金から除外をするサービスは国内MVNOでは初だ。動画の対応は難しかったのではないか。

 ニーズが高いサービスに対して、手頃な価格でサービスを提供することに価値が生まれる。昨今は動画を視聴するユーザーが増えているため、どうしても動画を対象に加えたかった。

 しかし動画は帯域を多く消費する。ここ数カ月、技術的に検討し、この程度の帯域で、このくらいの変動ならできるとして踏み切った。我々としては技術的な裏付けを持って進めている。

――エンタメフリー・オプションの発表の直前に、BIGLOBE SIM向けにNECのTraffic Management Solution(TMS)を導入したというリリースがあった。エンタメフリー・オプションの実現と関係しているのか。

 TMSによって、エンタメフリー・オプションに限らず、BIGLOBE SIMのユーザー向けのサービス体感品質を向上している。エンタメフリー・オプションもその恩恵を受けている、それ以外の通信についても同じ帯域で画質の向上や、スムーズな動作などを実現している。ある意味、エンタメフリー・オプションも、このTMSの導入ありきで始めた面もある。

――エンタメフリー・オプションでは、「動画視聴はスマートフォンを対象としており、タブレット端末などの大画面の視聴には適していない」としている。ネットワーク側で解像度や品質を変更するなど、動画のシェーピングをしているのか。

 動画のシェーピングなど、ネットワーク側で画質を落とすことはしていない。実はエンタメフリー・オプション以外のユーザーに迷惑がかからないように、エンタメフリー・オプションのユーザーとそれ以外のユーザーの帯域を区別して管理している。そのためエンタメフリー・オプションのユーザーのほうが、時間帯によって帯域が混雑する恐れがある。混雑によって動画サービス側で品質が落ちるケースがあるため、ユーザーが過度な期待を抱かないように、プレスリリースなどでこのような説明をしている。

――先にゼロレーティングを実現しているLINEモバイルによると、課金から除外するアプリのトラフィックを必要十分条件で特定することが非常に難しかったと聞く。

 当社も同様だ。エンタメフリー・オプションを6月頃から検討してきたが、やはり3~4カ月の準備期間が必要だった。DPI装置を提供するベンダーと協力しながら、技術的な裏付けを持って課金から除外するアプリのトレースに対応した。

――特にサードパーティー製のアプリを課金対象から外すためには、アプリの更新による挙動の変化にも対応していく必要がある。LINEモバイルはツイッターやフェイスブックと協力関係を築いたというが、エンタメフリー・オプションについてはどうか。

 (サードパーティーから)協力をいただける部分もあれば、協力が得られない部分もある。我々としてはベンダーの技術を使って、確実に対応していく考えだ。

――DPI装置の利用は、電気通信事業法第4条で定められた「通信の秘密」に抵触する行為となる。ユーザーに対して「個別」かつ「明確」な同意が求められると考えるが、どのような対応を取っているのか。

 LINEモバイルと同様に、アプリの特定のためには、IPとポート、ヘッダーの一部の取得が必要になる。データの中身は一切見ていない。エンタメフリー・オプション個別の規約を用意し、ユーザーの契約時に個別かつ明確に同意をいただく手順を踏んでいる。このあたりは非常に気を遣っている。

――ゼロレーティングについては、電気通信事業法第6条で定められた、通信事業者は不当な差別的な取り扱いをしてはならないという「利用の公平性」を損なうという見方もある。例えばインターネットイニシアティブは、ゼロレーティング分のコストを誰も負担しない場合、利用者の公平性が確保されていないとも指摘している。

 今回のエンタメフリー・オプションは、特定のアプリやサービスを無料化しているわけではない。ユーザーからオプション料金をもらい、その対価によって、ユーザーニーズに沿ったサービスを提供している。エンタメフリー・オプションの開始によって、他のユーザーにも迷惑をかけていない。このような考え方で整理している。

――エンタメフリー・オプションの反響や今後の目標を教えてほしい。

 11月1日からサービスを開始した。ユーザー数については想定通りだ。まだまだユーザーを収容しても問題ない。もっとサービスの露出をしてユーザー数を増やしていきたい。早期に10万ユーザーを目標として進めている。課金対象から除外するアプリやサービスについては、Web上でユーザーからリクエストを受け付けている。リクエストの多いアプリやサービスから、対象を増やしていきたい。

[メーカーに聞く]アイ・オー・データがM2Mルーター、ドコモとKDDIの回線に対応

 アイ・オー・データ機器は11月16日、「マルチキャリアM2Mルーター UD-LT1」の販売ならびに受注生産を始める。1台でNTTドコモ回線とKDDI(au)回線の両方に対応(排他利用)する点が特徴。10BASE-T/100BASE-TXインタフェース×2を備え、通信速度は上り最大50Mビット/秒、下り最大100Mビット/秒。対応バンド(周波数)は3G(W-CDMA)がB1、B6、B8、LTEがB1、B3、B8、B18、B19、B21である。価格はオープンで、実売予想価格は税別で2万9800円。同社 事業戦略本部企画開発部企画2課の岡優樹チーフリーダーと新規事業推進部新規事業推進課の今川雅裕課長代理に、提供の狙いや今後の展開などを聞いた。

――NTTドコモ回線とKDDI(au)回線の両方に対応することをうたっているが、具体的にどのような点がポイントなのか。

 競合他社は同じ製品でもNTTドコモ向けとKDDI向けで型番を分けていることが多い。ただ、回線の需要は提供エリアの都合などでユーザー企業ごとにバラバラ。販売店がその都度、手配しなくても、1台で両方の需要に対応できるメリットは大きい。

 今回の製品では中国ZTE製の通信モジュール(ME3620)を採用した。ZTEがNTTドコモとKDDIの相互接続性試験(IOT)をそれぞれ実施したもので、両方に正式対応した通信モジュールは珍しい。従来はNTTドコモとKDDIで通信モジュールを分けるのが一般的で、日本ではおそらく初めてではないか。

――マルチキャリア以外の訴求点は。

 定番のIPsecに加え、オープンソースの「OpenVPN」に対応した点が挙げられる。OpenVPNに対応したルーターは珍しい。センターのVPNルーターに接続するのではなく、AWS(Amazon Web Services)にOpenVPNを実装してデータを直接収集する用途を想定している。このほうが安価にM2Mのネットワークを構築できる。

 このほか、モバイル回線と固定回線の併用で障害時に切り替える「リンクバックアップ」、障害時に本体や通信モジュールを再起動できる「リンクリカバリ」、アドレスやポートごとに最大速度や優先順位を付ける「QoS(Quality of Service)制御」、特定の時間帯だけをオンラインにできる「スケジュール動作」などの機能を備える。有償の保守サービスの提供も検討している。

――販路はどうなる。

 既存の大手流通販社経由になる。NTTドコモやKDDIをはじめ、MVNO/MVNE、SI(システムインテグレーター)などを通じた販売も広げていきたい。ソラコムの「SORACOM Air」や「SORACOM Beam」に関しては動作を検証済みで、「SORACOM 認定デバイス」として認定も受けた。10月開催の「IoT/M2M展」に参考展示したところ、「動作確認済みの機種に登録したい」といった要望も多くのMVNOから受けている。

――無線LANやSIMカードの2枚挿しへの対応は計画しているのか。

 具体的な計画はないが、対応したいと考えている。無線LANに関しては、2017年春頃に投入する「IoTゲートウェイボックス」(Wi-FiやBLEの中継機能を搭載)との組み合わせでも同様なことを実現できる。一方、SIMカードの2枚挿しは、大規模災害などで片方の回線が止まっても片方は使えることがあり、需要は高いと見ている。実装のハードルもそれほど高くないが、まずは今回の製品の売れ行きを見てから判断したい。

――MVNOとして自らモバイル回線を提供する予定は。

 モバイル回線も提供したいが、現状ではハードルが高いと考えている。当社ならではという付加価値をいかに見い出せるかが最低条件となる。

[今週のNews Pickup]接続料の格差是正は期待外れ/携帯電話の国内出荷が1割減、など

 注目ニュースをピックアップし、記者のコメント付きで紹介するコーナーです。今回は11月9日から15日までの注目ニュースを取り上げました。(編集部)

▼総務省のモバイル接続料に関するワーキングチームが報告書(11月10日)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000448348.pdf

 総務省の「モバイル接続料の自己資本利益率の算定に関するワーキングチーム」が報告書を公表した。11月7日に開催した「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」で中間報告があった通り、接続料算定に用いるβは「NTTドコモの株価βからNTTドコモの財務状況に係るリスクを排除(アンレバー)したβを算定し、これに対して各事業者の財務状況に係るリスクを勘案(リレバー)したものを用いる」ことが決まった。

 βの計測期間は3年、株価の採録頻度は日次を採用。携帯電話は国民1人に1台以上普及した生活必需品で事業の安定性が高いため、βは「1を超えないこと」としてキャップを設けた。ただ、今後は株価βの基準となるNTTドコモでも事業の多角化が予想されるため、3年後を目途に検証を行い、必要に応じて算定ルールを見直すことが適当とした。

 もっとも、接続料への最終的な影響は分からないまま。11月9日の会合では2014年度実績で試算した結果も委員限りとなった。総務省によると、「原価+利潤」(接続料算定の分子)に占める利潤の割合は、従来の「10%~25%程度」の範囲から、「10%未満~20%以下」の範囲に縮小するという。最小値はNTTドコモ、最大値はソフトバンクと考えると、NTTドコモの利潤はごくわずかな縮小、ソフトバンクの利潤は5%程度の縮小と推測できそうだ。

 総務省は今回、携帯電話大手3社の接続料格差にメスを入れようとしたわけだが、やや期待外れに終わった感がぬぐえない。緻密な議論で裁量の余地は狭まったものの、格差は依然として残ったままだ。11月9日の会合でも「今回とは別にMVNO振興の観点で格差是正に取り組んでいくべきかどうかが求められるタイミングがまた出てくる。さらに踏み込んで均一料金があり得るのかは今後の課題」(主査代理の関口博正・神奈川大学経営学部教授)という指摘が出ており、まだその時期ではないという判断のようだ。

▼2016年4~9月の携帯電話の国内出荷は前年同期比10.9%減、MM総研調べ(11月10日)
https://www.m2ri.jp/news/detail.html?id=204

 MM総研が11月10日に発表した2016年4~9月の携帯電話の国内出荷台数は前年同期比10.9%減の1518万8000台だった。2000年度に統計調査を開始して以来、半期としては過去最低という。総務省の「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」で一括0円販売やキャッシュバック目的の乗り換えが減少。端末の実質負担額の高騰や高機能化による買い替えサイクルの長期化やフィーチャーフォンの買い替え需要の縮小も影響したとしている。

 スマートフォンの国内出荷台数は前年同期比8.4%減の1216万8000台。このうち、携帯電話大手3社向けは同13.1%減の1097万台に対し、主にMVNO向けとなるSIMフリー端末は同79.1%増の119万8000台だった。スマートフォンにおけるメーカーごとの出荷台数シェアは米アップルが50.8%で10期連続1位を記録した。以下、2位はソニーモバイルコミュニケーションズ、3位はシャープ、4位は富士通、5位は韓国サムスン電子と続いた。

 総務省は今後、「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」の議論を踏まえ、2017年早々にも「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を改訂する見通し。携帯電話の出荷台数はさらに減少する可能性が高い一方、改訂前の“駆け込み需要”で一時的に持ち直すことも考えられる。端末メーカーではソニーモバイルコミュニケーションズやシャープが大きな打撃を受けており、今後の動向が注目される。

▼NTTの4~9月期決算は減収増益、海外営業利益の目標達成は1年遅れが濃厚か(11月11日)
http://www.ntt.co.jp/ir/library/presentation/financial.html

 NTT(日本電信電話)が11月11日に発表した2016年4~9月期連結決算(米国会計基準)は、売上高が前年同期比1.2%減の5兆5243億円、営業利益が同26.3%増の9265億円と、減収増益だった。減収は為替の影響が大きい。増益は減価償却方法の見直しによる効果(約840億円)に加え、地域通信事業や移動通信事業が大きく貢献した。

 国内事業は至って順調だが、不安を残したのは海外事業。利益成長に向け、売り上げの拡大とコスト削減の両面で取り組んでいるものの、コスト削減の取り組みが遅れている。鵜浦博夫社長はアナリスト向け決算説明会で「来年度にどんと成果を上げられるかというと厳しいが、その次の年度には間違いなく達成できると考えている」とした。コスト削減の取り組みの過程では一時的な追加費用が発生するほか、人材流出のリスクも伴う。どうしても慎重にならざるを得ず、1年遅れが濃厚ということのようだ。

 2016年1~6月期の営業損益が83億円の赤字となっているディメンションデータについては、2つのステップに分けて構造改革を考えているという。「第1ステップは早々に終える。ここで一時的な費用はかかるが、その先は急展開で利益の拡大が進む。さらに第2ステップで飛躍的な改善を進めるが、もっと慎重に実施しないといけない」とする一方で、「NTTコミュニケーションズとディメンションデータの重複関係を整理していく。実施のタイミングを慎重に決めたい。国内であれば乱暴にできるが、海外は優秀な人材を失いたくない」といった発言も飛び出した。ゆくゆくはNTTコミュニケーションズとディメンションデータの統合も視野に入れているかのような印象を受けた。

■編集部から

記事執筆・編集は、テレコムインサイド取材班=堀越 功/玄 忠雄/榊原 康/加藤 雅浩
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