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 ドメイン名やIPアドレスなどの管理方針を決定する組織であるICANN(internet corporation for assigned names and numbers)は,米国時間の10月10日,インターネット上で直接投票を行った理事選挙の投票結果を公表した。その結果,世界5地域から1人ずつ理事メンバーが選ばれ,アジア・太平洋地域の代表理事に日本から立候補していた富士通の加藤幹之・ワシントンD.C.駐在員事務所長が当選した。

 世界中で27人が立候補した今回の選挙では,各地域ごとに投票が行われた。投票期間は10月1日から10日までで,ICANNのWebページ上で投票を受け付けた。投票権は,あらかじめICANNに届け出を提出した全世界のインターネット・ユーザー7万6000人に与えられていた。アジア・太平洋地域からは加藤氏を含む6人が立候補。加藤氏は,アジア・太平洋地域の投票者1万7745人のうち1万3913票を集め,他の候補者に大差をつけて当選した。選出された5人は,11月に開かれるICANN総会を経て正式に理事に任命される。任期は2002年の総会まで。

 今回の選挙は,ICANNの運用方針決定プロセスをより民主的にするために実施された。現行の19人の理事会メンバーのうち9人はICANN設立時の参加メンバー。これまでインターネットの運用や技術の標準化活動に貢献してきた人材が自ら参加したものである。このため,一部から「運用方針の決定が閉鎖的」という批判が出ていた。

 これを受け,ICANNでは,インターネット・ユーザーの総意を運用方針に反映するための仕組みとして,直接選挙で選ばれた理事5人と自主参加による理事5人を交代させる準備を進めていた。自主参加理事には日本人理事の村井純・慶応義塾大学教授も含まれているが,現時点でどの理事が退任するのかは不明。ただし,残った4人も2001年中には退任する予定である。富士通の加藤氏は,99年からICANNのドメイン名運用グループ(DNSO)の活動に作業メンバーとして参加していた。

 ICANNは98年9月に設立した非営利組織。インターネットを安定的に運用するために,ドメイン名の運用方針の決定,IPアドレスの配布/管理,プロトコル番号の管理--の3種類の機能を提供している。こうした機能は,98年まで米国政府が果たしてきたが,民間部門にこの権限を委譲するという政策変更を受けてICANNが誕生した。

(滝沢 泰盛=日経コミュニケーション)