東京都荒川区は9月8日に行った総合震災訓練の中で,ICカードを用いた安否確認システムIAA(I am alive)を訓練参加者に使ってもらった。ICカードには訓練用のサンプル個人データが入っており,これを避難所の端末に読み込ませて,IAAのデータベースに安否情報として登録した。IAAでICカードを用いるのは今回が初めて。

 訓練会場となったのは同区内の第二峡田(はけた)小学校。同校の体育館にサン・マイクロシステムズがサーバー2台とシン・クライアント4台などを持ち込み,LANを構築した。訓練参加者は10人程度のグループごとにIAAコーナーを訪れ,IAAの説明を聞いた後,各グループ1名がIAAを実体験した(写真1)。訓練会場を訪れた参加者のほとんどである500名程度がIAAコーナーを訪れたという。

  写真1 荒川区の第二峡田(はけた)小学校体育館でIAAシステムを体験する訓練参加者


写真2 JavaCardをカード・リーダーに差し込み,個人情報を読み取らせる

 今回の訓練で用いたIAAのシステムはブルーボックス・ジャパンが開発した。ICカードにはあらかじめ氏名,読みがな,性別、住所,生年月日を書き込んでおく。訓練ではダミーのデータを用いた。ICカードを会場に設置された端末のカード・リーダーに差し込んで,データを読みとる(写真2)。さらに端末の画面上で血液型,けがの程度,避難場所などを入力する。

 その隣の端末では,検索の体験をした。氏名か読みがなをキーワードに検索して,結果を表示する。個人の住所は表示しない。屋外のテントにも無線LAN端末を置いて,屋外からも検索できるようにする予定だったが,雨天のため,この部分は実施しなかった。

 このシステムはPure Javaで開発した。またICカードはJavaCardを用いた。地方自治体が住民にICカードを配布するとして,そのICカードを常に持ち歩いてくれないと災害時利用の意味がない。引き出しの奥にしまわれて,いざという時,あれ?どこ行ったけ?となっては意味がない。そこで「安否確認以外のさまざまなアプリケーションを盛り込めるようにJavaCardを採用した」(ブルーボックス・ジャパンの小島康雄社長)。図書館などの公共施設の利用カードや,病院の診察カード,商店街でのポイント・カードなどのアプリケーションが考えられるという。同社は今回のシステムをチューン・アップして,「LG-IAAシステム」(LGはローカル・ガバメントすなわち地方自治体の略)として来年春から販売する予定である。

 IAAの研究・普及促進を図る「IAAアライアンス」ではその1週間前の防災の日に複数のIAAシステムを接続する実験を行った(掲載記事)。今回のIAAシステムは,まだ他のIAAシステムとは接続していない。どのIAAシステムから検索しても,いったんIAAに登録すれば見つけられるように,相互接続を進めていく必要があるだろう。

(和田 英一=IT Pro編集)