イー・アクセスのCOOに就任する元KDDI副社長の種野氏

 「KDDI時代には,マイラインや携帯電話で多くのインセンティブをつけて顧客獲得競争に走った。しかし,それにはマイナスの面もあったのではないか」。イー・アクセスの代表取締役COO(Chief Operating Officer)に内定した,元KDDI副社長の種野晴夫氏(写真)は,このように振り返る。「ADSLでは無料キャンペーンをやっている会社もあるが,どうするのか?」という質問に答えてのことだ。

 1月27日,イー・アクセスはこれまでのエリック・ガン氏に代えて,種野氏をCOOに招くことを明らかにした。正式な就任は,臨時株主総会,臨時取締役会が開かれる2月25日になる。エリック・ガン氏は,新たに設けられるCFO(Chief Financial Officer)に就任する。

 種野氏は1974年日本電信電話公社に入社。その後,1984年には第二電電(現KDDI)設立に参画。1997年にはDDIポケットの代表取締役会長に就任。2000年にはDDI,KDD,IDOの3社合併の合併交渉および実施を責任者として担ってきた。いいわばKDDIグループを作ってきた男である。種野氏は2002年にKDDIを辞し,投資会社MKSパートナーズに転職していた。

 その同氏が,イー・アクセスに新天地を求めてきたのは,「またベンチャーをやりたかった」から。これまでベンチャー立ち上げから,大企業まで様々な規模の企業をマネジメントしてきた。その経験を踏まえ,イー・アクセスに参画するという。

 冒頭の種野氏の発言は,ライバル,ソフトバンク・グループのやり方を暗に批判したもの。ソフトバンク・グループはADSLの加入者増を狙って,無料キャンペーンを展開している。NTT東日本もこれに追随して,2月1日から無料キャンペーンを開始する。こうした動きに対して,コスト無視のユーザー獲得は好ましくないという姿勢を明らかにした。固定電話を巡る電話会社間のマイライン戦争,携帯電話での顧客獲得競争に多額の資金を投じたものの,長期的に見るとバランスシートに付けた傷は少なくなかったという訳だ。

 記者会見に列した千本倖生社長も「シェアはあまり意味はない」と主張。堅実経営指向を鮮明にする。イー・アクセスは株式公開の時期は延期したものの,近々,単月黒字を達成するというのだ。とはいえ,無料キャンペーンに代わるマーケティング手法はまだ明らかになっていない。

(和田英一=IT Pro)