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 「スパム(迷惑メール)の増大により,ISPやキャリアの対応コストは増大する一方だ。しかも,我々は“受け身”の対策しか採れないので,後手後手に回っている。現状,我々はスパムに対してほとんど負けている。ISPやキャリアが協調してスパム対策に取り組みことが不可欠だ」――。インターネットイニシアティブ(IIJ)のプロダクト推進部 近藤学プロダクトマネージャは9月28日,プレス向けのセミナーにおいてスパムの現状と対策について説明した。以下,同氏の発言内容の一部をまとめた。

 欧米のISP関係者と話しているときにスパムの話題が出ると,全員目が血走る。死活問題になっているからだ。欧米では,事実上メールを使えないくらいにスパムが流通している。スパムの多さに嫌気がさしてメールを使わなくなったユーザーも増えている。スパムに対応するためにネットワークやサーバーを増強しても,その分,より多くのスパムが送られてくる。

 国内ではスパム被害の個人差が大きい。一日数百通送られてくる人もいるが,送られてこない人にはほとんど送られてこない。このため,個人ユーザーからスパム対策の要望が寄せられることは少ない。しかし,国内でも遅かれ早かれ,欧米のようなひどい状況になるのは明らかである。実際2004年の夏には,国内のスパム流通量が10倍程度に急増した。通常の運用レベルでは対応できなくなり,ISP関係者の多くは対応に追われた。

 状況がよりひどくなる前に,ISPやキャリアは対策を施す必要がある。とはいえ,個別に対策を施しても“勝ち目”は薄い。「スパムを出されてしまった側」と「スパムを送り付けられた側」の両方で協調して取り組まないとだめだ。

 そのための取り組みの一つが,「MAAWG(Messaging AntiAbuse Working Group)」だ。MAAWGは2004年1月にIIJやBell,Cox,Openwave Systemsなどが立ち上げたワーキング・グループ。2004年6月からはNPOとして活動している。現在,国内で参加しているのはIIJのみ。MAAWGでは,ISPやキャリア間の協調の枠組みを定めるとともに,スパム対策技術の検証や政府機関との話し合いなどを進めている。「技術」だけではなく,「業界間の強調」や「施策」などを複合的に検討していることが特徴だ。

 国内でもMAAWG-J(仮称)として,ISPやベンダー数十社で活動を開始した。現在は月例会などを実施している。MAAWG-J(仮称)では,日本独自の問題を検討するとともに,国内ISP/ベンダーとMAAWGとの橋渡しも行う。ただ,MAAWG-J(仮称)と同様の取り組みがほかにもあるので,今後,MAAWG-J(仮称)をどうするのかについて検討しているところである。

(勝村 幸博=IT Pro)