PR

 「特許,特許,特許…多くのアルゴリズムが特許で押さえられており,苦労している」――Linuxの中核開発者であるDavid S.Miller氏は,10月15日に開催された「Linux Kernel Conference 2004」の講演でこう語った(関連記事「David S.Miller氏インタビュー」)。

David S.Miller氏
 Miller氏はLinuxのネットワーキング機能の責任者(メンテナ)で,米Red Hatに所属している。講演では,TCPおよびルーティング機能の改良について報告した。

 開発の過程で,通信相手までの経路を格納するルーティング・テーブル探索アルゴリズムを開発する際,性能のよい最長一致検索アルゴリズムが必要になったが「古くから研究されている問題であり,多くのアルゴリズムに特許が取られてしまっている」(Miller氏)。

 Miller氏は「ツリー・ビットマップと呼ばれるアルゴリズムは最も優れたアルゴリズムのひとつだが,米Cisco Systemsが特許を取得している。GPLのコードに使用する許可を得ようとしたが,得られなかった」と話す。

 他のアルゴリズムとしてはハッシュ・テーブル上のバイナリ・サーチと呼ぶアルゴリズムは特許保持者である米Washington大学と交渉中であり,まとまりつつあるという。また,Robert Olsson氏が開発したLPC-Trieと呼ぶアルゴリズムは完全な許諾が得られた。今後,バイナリ・サーチとLPC-Trieベンチマークやテスト,最適化を行うが,「最長一致検索アルゴリズムの研究を継続し,場合によっては独自のアルゴリズムを開発することも考えている」(Miller氏)という。

 NTTコムウェア OSS推進部 チーフエンジニアの中野宏朗氏は,稼動中のLinuxカーネルにメモリー上でパッチをあてるライブ・パッチ機能について報告した。NTTグループが設立した「Pannusプロジェクト」により,開発されたもので,すでにオープンソース・ソフトウエアとして公開されている。

Jens Axboe氏
 米NovellのSenior Kernel Engineer Jens Axboe氏は,LinuxカーネルのI/Oの改良について解説した。カーネル2.6.3に改良を施したパッチを適用することで,毎秒40K I/Oから毎秒110K I/Oに性能が改善されたなどの報告を行った。

 NTTデータ先端技術 オープンソース技術部長 鈴木幸市氏は,13日に一般公開されたばかりのLinux障害情報取得ツールを紹介した(関連記事)。NEC コンピュータソフトウェア事業本部 Linux 推進センター 三好 和人氏は,NECが貢献している大規模マルチプロセッサ対応について解説。VA Linux Systems Japan 技術本部長 高橋浩和氏は,同社が開発中の,稼動中にメモリを追加,交換できるメモリホットプラグ機能の現状を報告した。早稲田大学 理工学部教授で日本エンベデッド・リナックス・コンソーシアム会長の中島達夫氏は「組み込みLinuxにはQoS(性能保障)やセキュリティなどの問題が残されている」と指摘し,同氏らが取り組んでいるLinuxのQoS拡張とマイクロカーネルベースのアプローチについて紹介した。

(高橋 信頼=IT Pro)