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 10月22日,大阪でオープンソース・コミュニティなどが参加するイベント「関西オープンソース2004」が開催された。インテグレータのグッディがLinuxをインストールした「Let's note」の販売を発表するなど,多数の講演や展示が行われた。

大阪市立大学 中野秀男氏

 ボランティアによる「関西オープンフォーラム2004 実行委員会」が主催している。実行委員長 大阪市立大学教授 学術情報総合センター副所長 中野秀男氏である。同イベントは今年で3回目だが,年々規模を拡大してきているという。

展示会場

 展示会場では26のコミュニティと15の企業や団体による展示が行われ,多数の来場者が訪れた。

産業技術総合研究所 田代秀一氏

 2日間にわたり,数十コマの講演やセミナーが行われた。基調講演として独立行政法人 産業技術総合研究所 主任研究員 田代秀一氏が「経済産業省のOSS支援」と題して,オープンソースソフトウエア基盤整備事業やデスクトップ導入実験など,経済産業省の取り組みについて紹介した。日中韓の3国によるオープンソース推進の協力については「3国共同開発という報道が何度か出ているがこれは誤りで,あくまで相互運用性の確保と推進協力である」と語った。

京都市 豊田博一氏

 京都市 情報化推進室情報政策課課長 豊田博一氏は「京都市の高度情報化施策について」をテーマに,同市のITについて紹介。オープンソースについては「目的を実現でき,コストが低くて安定していれば中身は何でもかまわない」という見方を示した。

OpenOffice.org Louis Suarez-Potts氏

 オープンソースのオフィス・スイートOpenOffice.orgのコミュニティ・マネジャであるLouis Suarez-Potts氏は「OpenOffice.orgは3100万回ダウンロードされ,44の言語にローカライズされている」と普及状況を紹介。「各国語にポーティングする人材がもっと必要」と訴えた。

独YellowTAB Bruno G. Albuquerque氏

 独YellowTABのBruno G. Albuquerque氏は,かつてマルチメディアOSとして話題を集めたBeOSの後継とされる「Zeta」のデモを行った。日本語対応のデモも披露した。

 

グッディが発売するLinux搭載パソコン

 グッディは,Linuxをインストールした松下電器産業の「Let's note」を発売すると発表した。ホットキーなどもLinuxから利用できるようにした。ディストリビューションはDebian GNU/Linuxを採用。近く,同社のLinuxパソコン通販サイトを通じて販売を開始するという。

経済産業省 村上敬亮氏

 経済産業省 商務情報政策局情報政策課 課長補佐 村上敬亮氏は「オープンソースを巡る著作権論議と知的財産政策」について講演した。村上氏は,これまで特定の組織が所有してきた大量複製の手段がインターネットにより万人に開放されたことで「300年にわたる著作権制度のパラダイム・シフトが進行している」と述べる。そのような状況では,著作物の価値は作り手だけでなく,著作物を発見し取り上げる読み手によっても作られるようになると指摘。作り手とユーザーが渾然一体となってソフトウエアを開発するオープンソース・ソフトウエアは,ある意味でその理想的な形態であると語った。

WideStudio開発者 平林俊一氏

 「WideStudio」は,Windows,Linux,Mac OS X,FreeBSD,Zaurusなど様々なOS上共通に動作するアプリケーションを作成できるオープンソースの統合開発環境。情報処理推進機構(IPA)の2003年度 未踏ソフトウェア創造事業に採択され,平林俊一氏は「天才プログラマー/スーパークリエータ」にも認定されている。趣味として開発したWideStudioだが,現在は勤務先の富士通にも認められ,業務として開発やサポートを行っている(関連記事)。

 

大阪府立産業技術総合研究所 石島悌氏

 大阪府立産業技術総合研究所 主任研究員 石島悌氏は,同氏ら職員が自ら設計,実装して6月から運用しているという業務システムを紹介した。大阪府立産業技術総合研究所への技術相談の受付や予約などを行うシステムで,Linux,PHP,PostgreSQLなどで開発した。今後は開発ノウハウを府の企業に移転したり,システムのソースコードを他府県の同様な機関にも公開していきたいという。

 日本経済新聞社 情報技術本部の高橋昭子氏は,同社の組版システムの端末をUNIXワークステーションからLinuxへのリプレースについて紹介した。約250台の組版端末を2005年までにLinuxに置き換える作業を進めている。

 NTTデータ関西 第二ソリューション事業部の中井誠司氏は,同社のPHPフレームワークについて講演を行った。業務システムで必要となる入力チェックやエラー処理,日付などのライブラリ,カレンダ表示や明細表示などのSmartyを使用したテンプレートを整備し,テストを自動化するためのツールである。フレームワークの整備により,バグが半減するなどの効果が得られた。これまでにインターネット・サービス・プロバイダの設備管理システムや,通信事業者の督促管理システム,エンターテイメント業の予約管理システムなどに使用した実績があるという。

 日本電子専門学校は,USBメモリーから起動できるようにしたLinux「USB-KNOPPIX」を展示していた。256MバイトのUSBメモリーからGUI環境を備えたLinuxを起動し,使用できる。KNOPPIXはCD-ROMから起動できるLinuxだが,ブートローダー「Grub」の設定を変更しUSBから起動できるようにし,不要なプログラムを削るなどしてサイズを小さくした。

(高橋 信頼=IT Pro)