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写真1●経済産業省 久米孝氏
写真2●OSS推進フォーラムによるe-Japan重点計画特命委員会での提言(1)
写真3●OSS推進フォーラムによるe-Japan重点計画特命委員会での提言(2)
 11月30日,オープンソースを政策や法律面から考えるイベント「Open Source Way 2004」が開催され(関連記事),経済産業省 商務情報政策局情報処理振興課 久米孝氏(写真1)が講演した。久米氏は講演の中で,小中学校を含めた若者に対し,オープンソースをベースとしたカリキュラムを受講してもらい,世界レベルのトップ・エンジニアを育成する施策を実施しようとしていることを明らかにした。

 久米孝氏は「OSS(オープンソース)がIT産業に与えるインパクトと経済産業省の取組」と題して講演。経済産業省がオープンソースを支援する目的と具体的な取り組みについて説明した。

 オープンソースを推進する目的は「選択肢の拡大,イノベーションの促進,人材育成」であるという。具体的にはオープンソースに足りない機能の補完として「オープンソースソフトウェア開発基盤整備事業」,実践の場の提供として「学校教育現場におけるオープンソースソフトウェア活用に向けての実証実験」,国際展開として「アジアOSSシンポジウム」,「日中韓OSS連携」,また法的問題の分析を行っている。

IT版“奨励会”

 2005年度,経済産業省のオープンソース関連予算は,前年の倍額の18億円を要求している。2004年度の取り組みを継続,拡大するほか,新たに「早期高度IT人材育成支援事業(ITクラフトマンシップ・プロジェクト)」として2億5000万円を要求している。この取り組みは,小中学校を含めた若者に対し,オープンソースをベースとしたカリキュラムを受講してもらい,世界レベルのトップ・エンジニアを育成しようというもの。「囲碁や将棋の奨励会のIT版」(久米氏)である。

 「ブラックボックスの組み立てだけでは,真のエンジニアは育たない。IT教育と特定のソフトウエアの使い方を覚えることが同義になってはならない」(久米氏)。そのためにオープンソース・ソフトウエアを使用し,基礎原理から学ばせる。具体的なプロジェクト内容については,現在提案を募集中という。

マイクロソフト古川副社長の批判に反論

 米Microsoft副社長の古川亨副社長が先日IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の講演で「IPAはサン・マイクロシステムのStarSuiteやレッドハットに日本の税金で補助金を出している」と批判したことにも触れ「誤解がある。オープンソース・ソフトウエアのOpenOffice.orgの改善を支援しているのであり,Sunに補助金を出しているわけではない」と反論した(注:SunはOpenOffice.orgをオープンソース・ソフトウエアとして公開し,OpenOffice.orgをベースにStarSuiteを商品化している)。「支援対象となる人や法人だけが利益を受けるというプロジェクトしか支援をしてはいけないのだろうか。インターネットは米国人の税金で作られて世界中の人が裨益しているが,税金の無駄遣いという人はいない。結局,何が社会のコモディティとなりうるかという点についての理解の違いに帰着するように思える」(久米氏)。

OSS推進フォーラムが政府に利用促進を提言

 また,11月26日に自由民主党本部で開かれたe-Japan重点計画特命委員会でOSS推進フォーラムが行った提言内容を紹介した。OSS推進フォーラムは「政府システム調達におけるOSS利用の促進について」と題し,「OSSはわが国のIT産業の競争力向上につながるポテンシャルを有する」として,OSSのメリットを生かせる政府調達ガイドラインの設定などを求めた(写真2,3)。

 久米氏は「技術としてのITはコモディティ化が進み,IT産業は『モノ売り』から真の『サービス産業』,『ソリューション産業』になる。オープンソースはこの動きを加速させる」と語る。また「オープンソースが選択肢となるためにはインターオペラビリティが重要だが,現時点ではワープロや表計算などのインターオペラビリティが最大の課題になっている。政府機関のWebサイトでも,IEでなければアクセスできないようなサイトが存在する」と問題点を指摘した。

(高橋 信頼=IT Pro)