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 魅力ある製品にしようと思って次々に機能を追加する。その結果,使いにくくなったり,重くなりすぎてレスポンスが悪化する--。パソコン・ソフトの分野などでたびたび繰り返される悪循環である。

 同様の危険は,ポータルやEC(電子商取引)などのサービスを提供するWebサイトにもある。なかなか画面が出てこないオンライン・ショップでいらいらした経験をもつ人は少なくないだろう。潜在顧客の多いインターネット上のECサイトでは,例えば,話題のゲーム・マシンやゲーム・ソフトの発売でアクセスが急増し,システムがダウンしたり,つながりにくい状態が続くことも多い。

 機能強化よりも,快適にアクセスしてもらえるようにすることがインターネット・ビジネスで成功する決め手になる--。米国の大手Webサイトでこうした「質」の向上を目指す動きが強まってきた。

 99年の中ごろに発表された調査結果が,大きな影響を与えている。インターネット関連の調査会社である米ゾナ・リサーチが発表した報告書である。そこでは一般消費者はWebページのダウンロードに8秒以上かかると耐え切れないと感じること,ダウンロードに時間がかかると買い物をやめてしまい,それによって米国のビジネス・ツー・コンシューマ(BtoC)のEC市場では1年間に43.7億ドルの損失を出している可能性があることを示した。

 ここで登場した「8秒」という数字が「Webの8秒ルール」として広がり(日経インターネット・テクノロジー2000年7月号に関連記事),多くのWebサイト管理者に応答性を向上させる必要性を感じさせた。現在のように,似たようなサービスを提供するWebサイトが多数ある環境では,レスポンスの悪いWebサイトが淘汰されるのは当然のことだろう。我慢の限界を示す8秒という数字も,4秒だ,3秒だというように,どんどん短くなっている。

 Webサイトのパフォーマンス監視をビジネスにしている米キーノート・システムズという会社がある。あらかじめ契約した企業のWebサイトのレスポンスを継続的にモニターし,その結果を報告してくれる会社である。このキーノート・システムズが米国主要ビジネス・サイトを例に,毎週,そのレスポンスを公表している(「Keynote Business 40 Internet Performance Index」と呼ぶ)。計測方法などは同社のWebサイトで確認していただければありがたいが,月曜から金曜の朝6時から昼(太平洋標準時)に,15分おきにWebページのダウンロード時間を計測し,その週の平均を出す。対象とする40サイトのうち,7月24日から28日の結果は,米Yahooが0.9秒でトップ。2位には1.39秒のLycosが続く。こうした結果は,同社のWebページで公開されている。

 どこがトップになるかも重要だが,実は40社の平均値の方が興味深い。キーノート・システムズのWebページには,40社の平均値がグラフ化されているのだが,99年7月頃はこれがよく7秒を超えていた。それが徐々に減り始め,今年5月頃には5秒を下回り,さらに今年の7月末の時点では3.71秒となっている。Webページを読み出す時間が半分くらいまで短縮したのだ。こうしたパフォーマンス改善の裏側で,どのようなシステム再構築の工夫があったのか,ぜひ調べてみたいテーマである。