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 映画の予告編やミュージック・ビデオ,スポーツ映像など,インターネットで流れるビデオ・コンテンツを見たことがある人は,けっこう多いだろう。米Real Networks,米Microsoft,米Apple Computerなどのストリーミング・ビデオ用ソフトを使えば,見たいときに見たいコンテンツを簡単に視聴できる。ストリーミング技術を使うと,サーバからデータを受け取りながら再生するのでデータ量が大きくても待ち時間が短い。

 こういったエンターテインメント用途のコンテンツに触れる機会は多いと思うが,ビジネス用途のストリーミング・ビデオのコンテンツを見たことはあるだろうか。金融情報をビデオで流すサービスなどが一部で始まっているが,ビジネス用途のコンテンツはまだあまり多くない。知っている方は少ないのではないか。

 まだ見たことがない方は,夏休みのちょっと時間が空いたときにでも,こういったビジネス用途のコンテンツを体験してみるのはいかがだろう。エンターテインメント用途のコンテンツよりも,ビデオや音声,文字,グラフィックスを複合化したストリーミング・メディアの特徴が味わえる場合が多いと思うからだ。

 手軽に体験できるお薦めサイトの一つは,米Presenter.com社である。デモを見てみると,Web上でプレゼンテーション・ソフト「PowerPoint」のデータのようなスライド資料と,講演者を映したビデオ,および音声が出てくる。講演者の話に同期して,文字やグラフィックス,写真などを貼り付けたスライド資料も変わる。このサイトのライブラリには,低消費電力マイクロプロセサの開発で有名な米Transmeta社CEOのDavid Ditzel氏や,シリコンバレーで数々の企業を立ち上げているJim Clark氏などの講演が入っている。

 このほかにも,ストリーミング・メディアを利用したビジネス用途のコンテンツを提供する企業のサイトはけっこうある(たとえば,http://www.evoke.comhttp://www.activate.comhttp://www.eloquent.com)。セクシャル・ハラスメントなどのデモもある。あなたの興味をひくテーマがあるかもしれない。

 講演者の様子がビデオで出てくると,単にWeb上でスライド資料だけが提示されているときよりも注目率は高くなる。わかりにくいところを何回も聞きなおすことができて,英語の場合など特に便利だ。スライドを最後までザッと見ておいて,関心のある部分を中心に話を聞くこともできる。要はセミナー会場に行かなくても,実際に出席したような感覚でプレゼンテーションを聞けるという利点がある。また,研修用コンテンツを社員がちゃんと見たかどうか,どんなコンテンツをいつ見たか,視聴の履歴を見ながら上司が研修の進み具合をチェックすることも可能だ。

 実況中継であれば,リアルタイムに先生が質問して,遠隔地にいる複数の生徒全員が即座に返答する,といったインタラクティブな操作もできる。

 ストリーミング・メディアでは,文字やグラフィックス,ビデオ,音声がそれぞれ適材適所で使われる。想像もできなかった革新的なコンテンツがすぐにできるわけではないが,メディアの進化は長い時間をかけてジワジワと熟成してくる。古い話で恐縮だが,活版印刷が発明されたときも,すぐに現在の本の形態ができたわけではない。最初のころは印刷文字は手書き文字と同じように大きかったし(後に印刷文字は小さくなった),章わけ,索引なども,随分あとで出てきたものらしい。

 結果的に新しいメディアは新しい知覚習慣を作り,企業活動を大きく変えるようになる。例えば,電子メール,Web,ファクスを使わないビジネスは今では考えられない。そして,それらのコンテンツの素材も,文字だけから画像などへと豊富になっている。ストリーミング・ビデオの利用や高度なグラフィックスを利用したビジネス・コミュニケーションもごく自然に当たり前のように行われるようになるだろう。

 とりわけビデオの活用は米国でも今年に入って活発になった。企業向けのWebキャスティング・サービスを提供する米Activateでは,昨年までは音声による会議サービスが主流だったのが,今年は「音声のみ」と「音声+ビデオ」の場合が半々になったらしい(*)。

 通信回線のインフラが十分整ったとはまだ言えない状況だが,それでも面白いことはできるし,LAN環境ならかなり自由にストリーミング・データを送ることができる。ビデオや音声を利用するインターネット・コンテンツの作成は,それほど難しくない。ちょっとしたビジネス・プレゼンテーションにあなたも利用してみたらいかがだろうか。

(安保 秀雄=日経CG編集長)

注)現時点では,ストリーミング・ビデオのコンテンツを初めて見るときは注意が必要である。通信回線が低速だと快適に見ることができないことがある。また,ファイアウオールがある場合は,ストリーミング・ビデオ用ソフトの設定を変更しなければならない場合もある。