家庭内の機器をネットワークで接続し,制御するための標準システムの規格を策定している「エコーネットコンソーシアム」が「エコーネット規格書version1.0」を発表した。この規格書を見ると,家電メーカ各社が将来のホーム・ネットワーク向けに,どのような機器をどう制御したいと考えているのかが何となく想像できる。

 エコーネットコンソーシアムは1997年に設立された。「省エネルギー,セキュリティの高度化,ホームヘルスケアの高度化」などの基盤に使える「工事が不要で既築住宅に対応でき,多くの機器のコントロールを簡単にできる汎用的で標準的なシステム」の仕様を策定している団体である。シャープ,東京電力,東芝,日立製作所,松下電器産業,三菱電機を中心に70社以上が参加している。実証実験もすでに始まっている。

 さて,規格書というのは技術者以外の人にはチンプンカンプンというのが普通である。記者にとっては飯の種であり,興味もあるから調べもするが,例えば自分の家族にまで読ませようとは決して思わない。この「エコーネット規格書」の場合もやっぱり同じなのだが,「APPENDIX ECHONET 機器オブジェクト詳細規定」のセクションはちょっと面白い。

 このセクションはエコーネットで制御する対象(機器オブジェクト)と,それから取りだせる情報などを定義している。「機器オブジェクト」は,例えば「風呂水位センサクラス」「風呂沸き上がりセンサクラス」「冷凍冷蔵庫クラス」など,かなり具体的に名前を付けて定義されている。

 機器クラスから取得できる情報としては,例えば「冷凍冷蔵庫クラス」には
・「ドア開閉状態」,「ドア開放警告」,
・「冷蔵室」,「冷凍室」,「氷温室」,「野菜室」の各温度設定値,
・「冷蔵室」などの各温度計測値,
・「消費電流量計測値」,「定格消費電力」
などと定義されている。

 ここで「そうか,うちの冷蔵庫にはないが,「氷温室」や「野菜室」はもはや標準なのか」と変に感心をしたりする。

 これが「オーブンレンジクラス」になると
・「ドア開閉状態」
・「加熱開始状態」,「加熱モード」(電子レンジ加熱/電子レンジ解凍/オーブン/グリル/トーストなど)
・「自動加熱状態」
・「レンジ加熱レベル設定」(自動加熱温度レベルを5段階設定)
・「オープン加熱レベル温度設定値」
・「仕上がり温度設定値」(上記と同様)
・「加熱時間設定値」,「加熱残時間」
などが規定してある(ちなみに「電子レンジクラス」はない)。オープン加熱レベル温度設定値は,セ氏-273.2度,つまり絶対零度近くからなんと3276.6度まで設定可能で「0.1度単位で示す」とある。温度範囲がやたら広いが,もちろん「3000度まで加熱できるオープンレンジ」を作る,わけではない。2バイト分あればカバーできてしまうので(0xF554~0x7FFDまでの値で示す)こうなっているようだ。

 このほかにも50種以上の機器クラスが定義されており,それぞれのプロパティをみると「ナルホド」と思ったり,「何に使うのかなあ」と思うものがいくつもある。「規格書」としては異例かもしれない。

 機器オブジェクトから取得できる情報と,実際に何を制御できるかどうかは別の問題である。しかし規格書を見てみると,いろいろと応用を考えてみたくなる。ネットワーク経由でのお料理教室(「鉄人の火加減をあなたのオーブンで」)もできるかもしれない。たぶんエコーネットの趣旨とは違うのだけれど。