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 毎年冬と夏に開催されているIntel Developer Forum(IDF)に参加した。米Intelの開発者会議である。今夏は,8月22~24日にカリフォルニア州サンノゼ市のコンベンション・センターで開かれた。

 ここ数年,Intel社は新しいプロセサを3月~5月に発表する傾向があった。勢い,毎年2月ごろに催される春のIDFに参加する人たちが多かった。今回も2月のIDFに比べて少なかったが,それでも5000人を超える参加登録があったという。

 今年夏のIDFの焦点は,Pentium IIIプロセサ後継の「Pentium 4プロセサ(開発コード名:Willamette)」と目されていた。2000年第4四半期に発表を控えているからだ。ところが発表内容は期待を裏切った。ほとんどは前回のIDFで発表済みだったのだ。

 Pentium 4関連のセッションは最終日に開かれたが,めぼしい内容はなかった。Pentium 4に関する新しい話題をあえて挙げると,(1)基調講演で社長兼CEOのCraig Barrett氏が,Pentium 4に実装したマイクロアーキテクチャの名称「NetBurst」を明らかにしたこと,(2)同じく基調講演で上級副社長兼IAグループ事業部長のAlbert Yu氏がPentium 4が2GHzで動作することをデモンストレーションしたこと,(3)IDFに併設された展示会場でIntel社が初めてPentium 4搭載システムを展示したこと---くらいだった。

 IDFの参加者の反応を見る限り,2000年のクリスマス商戦の主力製品にPentium 4搭載機がなれるか疑問符を打たざるを得ない状況だ。

 このほかIntel社はIDFで,パソコン用メモリのロードマップを大幅に軌道修正したことを公式に認めた。これまで同社は,次世代メモリとしてDirect RDRAMへの移行を押し進めてきた。しかし2001年も,Direct RDRAMは脇役で主役はSDRAM。Pentium 4を搭載するメインストリームのパソコンでは,PC133のSDRAMが本流という。

 さらにPC133 SDRAMの後継として,DDR SDRAMも検討中であることを明らかにした。これまで同社は,DDR SDRAMをサーバやワークステーション向け次世代メモリと位置づけていたが,メインストリームのデスクトップ・パソコンでもDDR SDRAMを中核に据える可能性を示唆したわけだ。これは,大きな方向転換といえる。メモリ・ビジネスに大きな影響を与えそうだ。

ポスト・パソコンを見据える

 今回のIDFでは,ポスト・パソコン時代に向けたIntel社の戦略も垣間見えた。同社の視線の先には,(1)ネットワーク機器,(2)インターネット・アクセス機能を備えた携帯電話といった市場がある。

 特に携帯電話に関しては,低消費電力動作が可能なStrong ARMプロセサを開発していることを明らかにした。StrongARMは,米Digital Equipment Corp.から買い取った組み込み用途のマイクロプロセサである。9月18日~20日に東京で開催するIntel Developer Forum Japanで,さらに新しい情報を明らかにするという。

 もっともポスト・パソコン時代の半導体ビジネスに関してIntel社は,ようやく種をまき始めた段階である。パソコン時代の影響力を今後も行使できるかは予断を許さない。

 ただ,Intel社の方向転換は早くもIDF参加者の属性に表れ始めている。パソコンやマザーボード・メーカからの参加者の割合は徐々に減っているという。

(神保 進一=インターネット局ニュース編集部次長)