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 「パソコンは難しい。だから,パソコンがなくてもインターネットができるようにします」というのがここ数カ月の情報家電メーカや通信機器メーカの宣伝文句だ。

 「ポスト・パソコン時代に何を売り込むか?」を真剣に悩んだ揚げ句の旗印。

 競合他社製品にしっかりと水を空け,決定的に付加価値の付いた製品でない限り,売っても売っても赤字になるこの業界にあって,テレビやケータイ端末をインターネット・ビューアとして大化けさせれば「カナリ(語尾が上がる)」いけるんじゃないかというのが各社の読みだ。

 でも,本当にそうなんですか? 自信をもって勝算アリと言えますか?

 こう切り出すと,数年前に家電メーカ各社が発売し,ことごとく潰れ去った「かつてのインターネット・テレビ」のことを思い出してしまう人も多かろう。解像度が低すぎて細かい文字は見えないわ,チラチラして長時間の使用には耐えないわ・・・。最悪なのはリモコンで操作すればインターネット・サーフィンならず,情報の海で右往左往。あっという間に溺れてしまうのが,あの頃の「インターネット・テレビ」だった。

 今度は「ディジタル・テレビ」だから,解像度はある程度良くなり,チラチラもなくなっているから,根源的な不満は解消されている。しかし,インターネット・サーフィンを自在に楽しむ使い勝手に関してはパソコンの足下にも及ばない。目的のホットリンクをクリックするにも,リモコンの矢印キーを何度も押して行きつ戻りつ,ようやっと目的の場所にカーソルを合わせ,エイヤッと「実行ボタン」を押す。一覧情報からさらに詳しい情報を見るために,新しいウインドウを開いて詳細情報を出したいと思っても,「はて?」どのボタンをどう押せばいいのやら。

 こんなこと,パソコン歴25年の私にも難しく面倒なのに,パソコンそのものが使えない人にアピールするのだろうか?

 コギャルがピポパポプププとメールを書いているケータイにしても,同じ問題を抱えている。

 ライブ演奏会場,咳払いさえはばかられる研ぎ澄まされた空気のなかで,傍若無人に鳴り渡るケータイの呼び出し音。あきれて聞きただしてみれば「音の消し方がワカンナイ」。おいおい,やっぱ,そうなんでしょ?

 さっきまでメールを親指で見事に紡ぎだしていながら,ちょっと変わった操作をしようとすると,途端にマニュアルのお世話にならなければ使えない。ユーザ・インタフェースが洗練されていないから,マニュアルをよほど読みこなさなければ使えないのだ。今のケータイは。

 そんなことで,ポスト・パソコン時代の次世代情報端末なんかになれるはずがないのだ。

 使いやすいユーザ・インタフェースとは何なのか,マニュアルを引っ張り出さなくても,誰にも使える仕組みとはどんなものなのか,イチから研究して出直してほしい。