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 最近米国の調査データを見ていると,オンライン・バンキングに関して以前に比べて悲観的な予測が目に付く。

 たとえば米eMarketerは最近の調査で,「99年の取引高180億ドルのうち,オンライン・バンキングで取引されたのはたったの420万ドル」としており,あまりにも多くの誤った分析が蔓延していると結論づけている。また米Gartner Groupも最新の市場予測で,「オンライン・バンキングは金融機関のコスト削減にはなるが,売り上げには貢献しない」としており,数年前の市場予測に比べるとトーンダウンした恰好になっている。

 世の中の変化の激しさを考えれば,これも仕方がないことかもしれない。しかし,調査会社のデータをどこまで信用して使ってよいのか,記事を書いて報道する立場として困ってしまうときがある。

 オンライン・バンキングの問題を一つとっても,サービスを始めた目的は米国でも全ての金融機関が同じではないだろう。国内でインターネットを使ったオンライン・サービス提供している金融機関のなかには,シティバンクのように多くの預金者を獲得している銀行だってある。これは個人的な感想だが,取引高や預金高の絶対額だけを見て,単純にオンライン・バンキングの成否を論じるのはまだ早計といったらいい過ぎだろうか?

 そもそもWWWは,顧客や取引先との接点の一つに過ぎない。WWWを使ったサービスを始めたからといって,事業が成功する保証はどこにもないのが普通だ。何を目標としてどのようなサービスをWWWで提供し,その事業をどんな尺度で評価するかをきちんと決めないと成功なのか,失敗なのかは論じられない。

 “先進”といわれる米国企業の事例を見ていると,銀行に限らず,ネットビジネスを始めるための準備に大きなリスクを背負った企業は少なくない。

 たとえば“One-to-One Marketing”の成功事例として時折取り上げられる米Bell Atlanticは,各事業部が個別に管理している顧客情報データベースを統合するのに3年以上を費やしたといわれている。同様なことは米Wells Fargoにも当てはまる。

 あるいはドットコム企業の典型とされる米Dell Computerだって,1995年ごろは各事業部ごとにホームページを開設して製品情報ばかりを提供していた。この面では,他のパソコン・メーカと大差はなかった。今の事業形態に移行するのはそれほど簡単だったわけではない。

 逆に以前は“成功”事例としてもてはやされた米Amazon.comの最近の取り上げられ方を見れば,今成功とされている企業が将来にわたって同じ評価でいられる保証もどこにもない。

 では何を持って“成功”としたらよいか。

 おそらく最初に設定した目標を達成できたかどうかでしか判断できないように思う。要は,世間ではなく,プロジェクト担当者や経営者が自分自身に問いかけ答えを得るしかないということだろう。